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精神科の電子カルテにAIを足すと、診察の記録はどう変わるのか
精神科の電子カルテとAIの組み合わせを調べると、全科対応の「AIカルテ」の情報が多く出てきます。ただ、精神科の診察には精神科の事情があります。この記事では、いまお使いの電子カルテを入れ替えずにAIを足すという選択肢と、それで診察の記録づくりがどう変わるかを、本番環境の実測値とあわせて整理します。
精神科の診察記録は、なぜ時間がかかるのか
検査値や画像で状態を示せる診療科と違い、精神科の診察は会話そのものが診療の中心です。患者さんの話しぶり、生活の様子、症状の経過——言葉で聞き取ったことを、言葉のまま記録に残す必要があります。初診では生育歴や現病歴の聞き取りが長くなり、再診でも経過の記載は積み重なっていきます。
診察中にキーボードへ向かう時間を増やせば記録は速くなりますが、そのぶん患者さんと向き合う時間が削れます。「診察が終わってから、記憶を頼りにまとめて書く」——多くの現場で、記録はこうして診察後の仕事として積まれてきました。
電子カルテを入れ替えずに、AIを足せるのか
「AIを使うならカルテごと入れ替え」と考える必要はありません。MENTRAは、いまお使いの電子カルテと併用する設計です。導入にあたってカルテの移行作業はなく、1つの診察室から小さく始められます。
役割分担ははっきりしています。診療情報の管理はこれまでどおり電子カルテが担い、「会話を記録の下書きに変える」部分をMENTRAが引き受けます。
診察の会話は、どうやってSOAPの下書きになるのか
使い方は、診察のはじめに録音ボタンを押すだけです。いつもどおり診察をして、終わったときには、会話の内容がSOAP形式(S: 主観的情報/O: 客観的情報/A: 評価/P: 計画)の下書きに整理されています。
下書きができるまでの時間は、導入医療機関の本番実測で中央値18秒。9割の診察が42秒以内に仕上がっています。医師は出来上がった下書きを確認・修正して確定する——記録が「診察のあとの仕事」から「診察と同時に終わる仕事」に変わります。
診察の長さはさまざまです。初診のように話が長くなる日も流れは同じで、1時間近い録音でも安定して仕上がるよう、長い会話は分けて並行して処理する作りにしています。文字起こしには精神科専用の用語辞書を使っており、薬剤名や制度の用語も正確に扱います。
実際の現場では、どこまで使われているのか
導入医療機関では、6か月間で1,227件・167.8時間分の会話が記録に変わりました。AIが作った下書きの96.7%が、医療者の確認・修正を経て確定まで進んでいます。作られたまま放置される下書きではなく、日々の診療記録として使われている数字です。
利用は医師2名の「試し」から始まり、いまは看護・相談・福祉の部門を含む7名に広がっています。診察のカルテだけでなく、看護記録・面談記録・議事録・福祉訪問記録まで、5種類の記録様式を同じ仕組みで扱えることが、広がりの理由です。
AIカルテ・診療記録の詳細はAIカルテ・診療記録に、導入医療機関の経過は導入事例にまとめています。
