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精神科のAIには2種類ある ― 診断を助けるAIと、記録を引き受けるAI

目次
  1. ① 診断や治療を助けるAI
  2. ② 記録の仕事を引き受けるAI
  3. なぜ、精神科では②の需要が大きいのか
  4. ②は、どのくらいの時間を動かすのか
  5. ①と②は、どちらが優れているという話ではない
  6. 「精神科向け」であることの意味
  7. どちらを探しているのか、から始めてよい

「精神科 AI」で検索すると、多くは診断や治療にAIを使う話が出てきます。脳画像から所見を読み取る研究、症状から受診先を提案するサービス、認知行動療法をアプリで届ける取り組み。

これらとは別に、精神科でAIが使われているもうひとつの領域があります。記録の仕事です。同じ「精神科のAI」でも、目的も、置かれる場所も、評価のされ方も違います。

① 診断や治療を助けるAI

こちらは、臨床判断そのものに近づく方向です。

  • 脳画像や生体データから、状態を判別する研究
  • 症状の入力から、受診すべき診療科を提案する
  • 認知行動療法などを、アプリの形で提供する
  • 会話の内容から、リスクの兆候を検出する

この領域の難しさは、正しさの証明にあります。 医学的な妥当性を臨床研究で示す必要があり、医療機器としての規制の対象になることもあります。時間も費用もかかりますが、成功すれば影響は大きい領域です。

② 記録の仕事を引き受けるAI

もうひとつは、臨床判断には触れず、その周辺の作業を引き受ける方向です。

診察の会話から、カルテの下書きを作る。訪問看護の会話から、看護記録の下書きを作る。面談やカンファレンスの会話から、記録や議事録の下書きを作る。

こちらは、医学的な判断をしません。 医療者が話したこと、患者さんが話したことを、記録の様式に沿って整えるだけです。判断はすべて医療者が行い、AIが作った下書きは確認と修正を経て確定します。

MENTRAが作っているのは、この②です。

なぜ、精神科では②の需要が大きいのか

精神科の記録は、他科と比べて量が多く、書くのに時間がかかります。

理由は、診断と評価の根拠の多くが会話の中にあるからです。血液検査で気分の落ち込みは測れません。だから患者さんが話された言葉そのものが所見になり、それを残す作業が記録の中心になります。

さらに、記録は診察カルテだけではありません。看護記録、面談記録、多職種カンファレンスの議事録、福祉部門の訪問記録。職種ごとに別の様式があり、それぞれが会話から生まれます。

会話が多い診療科ほど、記録の仕事が重い。 ここに②のAIが効く余地があります。

②は、どのくらいの時間を動かすのか

MENTRAの導入医療機関での実測値です。

  • 診察が終わってから、カルテの下書きができるまで 中央値16秒(1,557件、9割は45秒以内)
  • 平均23.5分の訪問看護の会話が、中央値47秒で記録の下書きに(直近30日の66件、すべて6分以内)
  • これまでに 2,141件・311.5時間の会話が記録に変わった
  • 下書きの 96.6% が、医療者の手元で確認・修正を経て確定まで進んでいる

最後の数字が、この種のAIの評価軸です。速く作れることより、実際に使われていることのほうが重要です。作られたまま放置される下書きなら、記録の仕事は何も減っていません。

①と②は、どちらが優れているという話ではない

2つは競合しません。目的が違います。

①は医学を前に進める仕事で、②は医療者の時間を戻す仕事です。②が上手くいくと、①の材料になる記録が整うという関係もあります。構造化された記録が蓄積されなければ、そもそも研究のためのデータになりません。

ただ、導入を検討する立場から見ると、確かめるべきことが全く違います。

診断を助けるAI 記録を引き受けるAI
確かめること 医学的な妥当性、規制対応 現場で使われ続けるか、記録の様式に合うか
効果が出るまで 中長期 導入した週から
失敗の形 判断を誤る 使われずに元の運用に戻る

②の失敗は「使われなくなること」です。だから比較するときは、精度の高さより、いまの記録様式にどこまで合わせられるかを見るのが実務的です。

「精神科向け」であることの意味

②のAIには、全科対応の製品が多くあります。それでも精神科に特化する意味があるのは、記録の様式と語彙が違うからです。

自立支援医療、精神障害者保健福祉手帳、就労継続支援A型とB型、GAF尺度、医療保護入院。これらは似た言葉が多く、1文字違うと別の制度になります。一般的な音声認識は、これらを日常語に引き寄せてしまいます。

そして記録の様式も、診察・看護・面談・カンファレンス・福祉訪問で全部違います。「精神科向け」とひとくくりにしても足りず、様式ごとに書き分ける必要があります。

MENTRAが記録の種別ごとに別の書き方と別の辞書を持っているのは、この差を吸収するためです。

どちらを探しているのか、から始めてよい

「精神科でAIを使いたい」という段階では、①と②のどちらの話なのかが決まっていないことがよくあります。それで構いません。院内のどこに時間が取られているかを整理するところから、判断の材料は作れます。

MENTRAでできることはサービス紹介にまとめています。記録のどこに時間がかかっているかの棚卸しだけでも歓迎ですので、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

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今の記録の流れを伺うところからで大丈夫です。資料の準備は不要です。

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