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精神科の電子カルテを乗り換えるとき、何が大変なのか
目次
電子カルテやその周辺システムの入れ替えを検討するとき、比較の対象になるのはたいてい機能と価格です。ところが実際に始めてみると、時間を取られるのは別のところです。
患者情報をどう運ぶか。そして、院内の人がいつ慣れるか。 この2つが移行の実体です。
患者情報の移行が、最初の関門になる
いま使っているシステムには、すでに患者さんの情報が入っています。数百件から数千件。これを手で入力し直すのは、現実的ではありません。
多くのシステムはCSVでの書き出しに対応しているので、そのファイルをそのまま読み込めることが前提条件になります。MENTRAはCSVでの一括取り込みに対応していて、取り込む前に内容の一覧が表示されます。確認してから実行できます。
そして、ここが本題なのですが——取り込みは一度で成功しません。
「戻せる」ことが、移行の速さを決める
列の対応がずれていた、文字コードが違った、想定していない値が混ざっていた。移行のときは必ず何かが起きます。実際に詰まるのは、だいたいこの3つです。
| 何が起きるか | どう気づくか | 戻し方 |
|---|---|---|
| 列の対応がずれる(氏名とカナが入れ替わるなど) | 取り込む前の一覧で、先頭の数件を見れば分かる | 取り込み後でも、実行の履歴から取り消す |
| 文字コードが違い、氏名が化ける | 同じく一覧で分かる。1件でも化けていれば全体が化けている | 同上。書き出し直して入れ直す |
| 想定していない値が混ざる(空欄・全角の数字・旧姓の併記など) | 一覧では気づきにくい。取り込んだあとに見つかることがある | 同上。ここが「戻せる」ことのいちばんの効きどころ |
3つ目が要点です。1つ目と2つ目は事前に見れば分かりますが、3つ目は入れてみないと分かりません。 戻せない前提だと、この「入れてみないと分からない」ものを事前に潰そうとして、何百件のファイルを目で見ることになります。
問題は、戻せないと分かった瞬間に、確認の作業が重くなることです。一発勝負になると、事前チェックに時間をかけざるを得ません。何百件のファイルを目で見て確かめることになります。
MENTRAでは、取り込んだ内容を実行の履歴から取り消せるようにしました。まず試して、結果を見て、違えば戻す。この作りにすると、事前の確認に何日もかける必要がなくなります。
戻せる仕組みは、失敗に備えるためのものというより、確認の工数を減らすためのものです。
なお、旧システムのデータをどう扱うかは、まるごと変換して新システムへ移す、旧システムを参照用に残す、書き出したものを見られる形にして置いておく、といった方針に分かれます。MENTRAはいまお使いの電子カルテと並行して使う設計なので、過去のデータをまるごと運ぶ前提に立ちません。運ぶのは、これから記録を書くために要る患者さんの基本情報だけです。
精神科では、何を棚卸ししておくとよいか
移行の相談で見落とされやすいのが、精神科にしかない情報です。一般の診療科向けの移行の手引きには出てきません。
| 情報 | なぜ気をつけるか |
|---|---|
| 自立支援医療(精神通院医療)の受給者証 | 有効期限があり、更新の管理が要る。番号と期限が別々の場所にあると引き継ぎで落ちる |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 同じく期限がある。等級は診察のたびに参照される |
| 心理検査の結果 | 数値と所見が対になっている。片方だけ運ぶと意味を失う |
| デイケア・作業療法の参加状況 | 診察の記録とは別の場所にあることが多い |
| 訪問看護指示書 | 期間の管理が要る。誰に出しているかが分かる形で残す |
| 入院形態(任意・医療保護など) | 記録の扱いと手続きが変わる。取り違えは事故につながる |
共通しているのは「期限があるもの」と「対で意味を持つもの」です。 この2種類は、移行のときにいちばん落ちやすく、落ちたことに気づくのが数か月後になります。移行の前に、どこに何が入っているかだけでも棚卸ししておくと、あとが楽になります。
移行の当日より、その後の3週間が大変
システムを切り替えた当日は、たいてい全員が身構えているので、なんとかなります。難しいのはその後です。
- 「前のシステムでは、これがここにあった」が続く
- 忙しい日に、慣れた手順に戻りたくなる
- 使わない人が出ると、記録が2か所に分かれる
3つ目が最悪で、移行が完了しないまま並行運用が続きます。 こうなると、どちらを見ればよいか分からない期間が延々と続きます。
ここを短くするために効くのは、機能の多さではなく覚えることの少なさです。MENTRAでは、診察・看護・面談・カンファレンスという4種類の記録すべてで、操作の流れを同じにしています。記録の種別を選び、録音し、下書きを確認して確定する。1つ覚えれば4つ使えます。
端末を選ばないことが、移行の障害を減らす
もうひとつ、意外に効くのが端末の話です。院内のパソコンだけで動く前提だと、そのパソコンの前に行かないと何もできません。 移行直後は「とりあえず後で入力する」が起きやすく、それが並行運用の入り口になります。
MENTRAはスマートフォンとタブレットに対応しているので、訪問先やベッドサイドで録音して、院内のパソコンで確認して確定する、という使い方ができます。その場でできることが増えるほど、後回しが減ります。
責任の分担を、先に文書にしておく
移行の稟議で必ず論点になるのが、どこまでが誰の責任かです。アプリとクラウド基盤の安全管理は当社、院内の端末・ネットワークやアカウントの運用は医療機関。MENTRAではこの分担をあらかじめ文書にしています。
3省2ガイドラインへの対応状況をまとめた開示書もご用意しているので、院内のセキュリティチェックシートには、貴院の様式のまま回答します。 稟議の場でここが止まると、移行そのものが半年遅れます。
移行の相談は、決める前のほうがよい
移行の進め方は、いまお使いのシステム、患者数、職員の体制によって変わります。「入れると決めてから相談する」より、決める前に実物で確かめるほうが、判断の材料が増えます。
導入の流れに手順をまとめています。いまお使いのシステムからどんな形で書き出せるか、それをそのまま読み込めるかは、書き出しの見本を1件お見せいただければ具体的にお答えできます。 現状の棚卸しだけでも歓迎です。
よくあるご質問
移行の作業は、診療を止めずに進められますか
並行して進められます。MENTRAはいまお使いの電子カルテと並べて使う設計なので、切り替えの日を1日に集める必要がありません。先に一部の記録から使い始めて、慣れたところで広げる進め方も取れます。
CSVの列の並びは、指定の形に直してから渡すのですか
そのままで大丈夫です。書き出したファイルの見本を1件お見せいただければ、列の対応はこちらで合わせます。並べ替えや列名の書き換えを院内でしていただく必要はありません。
取り込みの練習だけ先にできますか
できます。取り込む前に内容の一覧が出て、実行したあとも履歴から取り消せるので、実際の画面でそのまま試せます。結果を見てから、進めるかどうかを決めていただけます。
移行の作業は、院内の誰が担当することになりますか
患者さんの基本情報を書き出せる方がいれば始められます。書き出したあとの取り込み・確認・やり直しは画面の中で完結するので、情報システムの担当者がいなくても進められます。
