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精神科の評価尺度 一覧 ― 何を測る尺度か・誰が付けるか・記録にどう残すか

目次
  1. 一覧 ― 目的ごとに
  2. 症状の全体像
  3. うつ
  4. 不安・強迫
  5. 薬の副作用
  6. 認知機能
  7. 尺度ではないが、数字で揃えるもの
  8. 誰が付けるか ― 面接者評価と自己記入式
  9. 記録に残すとき、共通する3つの穴
  10. MENTRAでは、尺度をどう記録に置いているか

精神科の評価尺度は数が多く、日本精神科評価尺度研究会の正式略称一覧だけでも100を超えます。日常の診療で使うのはそのうち十数種類で、何を測る尺度かと誰が付けるかの2つの軸で整理すると、どれを使うか・どう記録に残すかで迷わなくなります。

この記事は、精神科の評価尺度の一覧です。目的ごとに代表的な尺度を並べ、項目数・評点の範囲・付ける人・診療報酬との接点をまとめました。個々の尺度の付け方と記録の残し方は、それぞれの記事に書いています。

一覧 ― 目的ごとに

症状の全体像

尺度 項目・評点 誰が付けるか 特徴 記事
GAF 0〜100の1つの数字 面接者 症状と社会的機能の全体。🔴 訪問看護の記録書・報告書、在宅患者支援管理料の要件 GAF尺度とは何か
CGI 重症度・改善度を各1〜7 面接者 約1分で付けられる全般印象。改善度は初回評価時との比較 CGIとは何か
BPRS 18項目×1〜7、合計18〜126 面接者 疾患を限定しない精神症状の尺度 BPRSとは何か
PANSS 30項目×1〜7、合計30〜210 面接者 統合失調症の陽性・陰性・総合精神病理。権利者が管理 PANSSとは何か
WHODAS 2.0 6領域・36項目×0〜4 本人/面接者/代理人 生活機能の6領域。DSM-5でGAFに代わって掲載 WHODAS 2.0とは何か

うつ

尺度 項目・評点 誰が付けるか 特徴 記事
HAM-D 17項目、合計0〜52 面接者 半世紀以上使われる標準。身体症状と不安を含む HAM-Dの評価とは
MADRS 10項目×0〜6、合計0〜60 面接者 抑うつの中核症状。変化を追うのに向く MADRSとは何か
PHQ-9 9項目×0〜3、合計0〜27 本人 過去2週間の自己記入。9問目は別扱い PHQ-9とGAD-7の使い方

不安・強迫

尺度 項目・評点 誰が付けるか 特徴 記事
GAD-7 7項目×0〜3、合計0〜21 本人 過去2週間の自己記入。PHQ-9と同じ帯 PHQ-9とGAD-7の使い方
LSAS 24場面×(恐怖0〜3+回避0〜3)、合計0〜144 面接者/本人 社交不安を恐怖と回避の2軸で LSASとは何か
Y-BOCS 10項目×0〜4、合計0〜40 面接者 強迫観念と強迫行為を5つの観点で Y-BOCSとは何か

薬の副作用

尺度 項目・評点 誰が付けるか 特徴 記事
DIEPSS 個別症状8+概括重症度1 医師 薬原性錐体外路症状。🔴 特定薬剤副作用評価加算の要件 DIEPSSとは何か
AIMS 部位ごとの運動+全体評価+歯の状態 医師 異常不随意運動、主に遅発性ジスキネジア 同上

認知機能

尺度 項目・評点 誰が付けるか 特徴 記事
HDS-R 9問、30点満点 検査者 日本で作られた。区切り20/21点 HDS-RとMMSEを精神科で使うとき
MMSE 11項目、30点満点 検査者 動作の項目を含む。権利者が管理 同上

尺度ではないが、数字で揃えるもの

用語 何を揃えるか 記事
クロルプロマジン換算(CP換算) 種類の違う抗精神病薬の量を、クロルプロマジン100mg相当で揃える クロルプロマジン換算とは何か

誰が付けるか ― 面接者評価と自己記入式

尺度は「誰が付けるか」で2つに分かれます。

面接者評価(HAM-D・MADRS・PANSS・BPRS・CGI・GAF・DIEPSS・Y-BOCS)は、医療者が面接や観察をもとに付けます。医療者の見立てが数字になるので、評価者間のぶれが問題になり、多くの尺度に評価者トレーニングが用意されています。

自己記入式(PHQ-9・GAD-7・LSASの自己記入版・WHODAS 2.0の本人版)は、患者さんが自分で付けます。本人の実感が数字になるので、待合や問診の中で付けてもらえる一方、回答のもれや、付ける場面による点の違いに気をつけます。

両方を並べると、実感と見立てのずれが見えます。面接者のHAM-Dが14点で本人のPHQ-9が6点、というずれは実際にあり、ずれていること自体が面接で聞くべきことを教えてくれます。

記録に残すとき、共通する3つの穴

尺度ごとの記事で繰り返し書いていることですが、点数を記録に残す段階で起きる問題は、どの尺度でも同じ3つです。

点数だけが残って、根拠が残らない。 合計点だけでは、どの項目が高いのか、何を見てその数字にしたのかが次に読む人に伝わりません。項目ごとの点数、あるいは高かった項目と根拠の1行を、点数と同じ場所に残します。

前回の点数に引っ張られる。 前回の評価表を見ながら付けると、動いたはずの項目が動かなくなります。付けるときは前回を見ず、付け終わってから比べる、という順番が要ります。

本文と点数が食い違う。 記録の本文には「落ち着いている」とあるのに点数が前回と同じ、という記録は、本文と点数を別の場所・別のタイミングで書くと起きます。同じ画面・同じタイミングで残すと、食い違いは起きにくくなります。

これに加えて、尺度ごとに残すべきものがあります。CGI-Iなら基準日、Y-BOCSなら症状チェックリストで特定した症状、LSASなら恐怖と回避の小計、HDS-R・MMSEなら検査時の状況、CP換算なら換算の版です。

MENTRAでは、尺度をどう記録に置いているか

MENTRAの看護記録では、GAFの入力欄を記録を書く流れの中に置き、その日の会話から作った目安の値と、看護師の方が確定した値、根拠の1行を同じ画面に残しています(看護記録にGAF尺度を追加しました)。別の紙に転記する作業を作らず、数字と根拠が同じ場所に並ぶようにするためです。

この一覧にある他の尺度も、点数・評価日・根拠を記録の本文と同じ場所に構造化して残す、という形は同じです。項目ごとの点を持っておけば、小計も帯をまたいだかどうかも、あとから数え直さずに出せます。貴院で使っている尺度や様式に合わせて記録の欄を組めるかは、個別に検討してご提案しています。AIカルテ・診療記録とAI看護記録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。


参考

よくあるご質問

精神科の評価尺度はいくつあるのですか

日本精神科評価尺度研究会の正式略称一覧には100を超える尺度が載っています。日常の診療で使われるのはそのうち十数種類で、この記事ではその中から目的ごとに代表的なものを取り上げています。

診療報酬に関係する尺度はどれですか

精神科訪問看護の記録書・報告書、精神科在宅患者支援管理料の要件に出てくるGAFと、通院・在宅精神療法の特定薬剤副作用評価加算の要件になっている薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)です。

面接者評価と自己記入式はどう使い分けますか

面接者評価(HAM-D・PANSS・BPRSなど)は医療者の見立てを数字にするもの、自己記入式(PHQ-9・GAD-7など)は本人の実感を数字にするものです。両方を並べると、実感と見立てのずれが見えます。

尺度の用紙を電子カルテのテンプレートにしてもよいですか

原著が論文として公開されている尺度(BPRS・HAM-Dなど)は、項目名と点数を記録の欄にする形が一般的です。権利者が管理している尺度(PANSS・MMSEなど)は項目文を転載せず、正規の用紙を参照する形にします。記録に残すのは項目名と点数、根拠までです。

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