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精神科の診断書3種 ― 記録から埋まる欄と、改めて判断する欄

目次
  1. 3つの診断書 ― 一覧
  2. 障害年金の診断書 ― 判定7項目と程度5段階
  3. 自立支援医療の診断書 ― 「重度かつ継続」
  4. 手帳の診断書 ― 初診日から6か月、有効期間2年
  5. 記録から埋まる欄と、改めて判断する欄
  6. MENTRAでは、書類と記録をどうつなぐか

精神科の外来で医師が書く診断書のうち、頻度が高いのは障害年金(精神の障害用)・自立支援医療(精神通院医療)・精神障害者保健福祉手帳の3つです。同じ患者さんについて3つとも書くことも珍しくなく、書ける医師の要件、有効期間、判定の枠組みがそれぞれ違います。

この記事では、3つの診断書の様式の構成と判定の考え方を一覧にしたうえで、日々の診療録から埋まる欄と、書くときに改めて判断する欄を分けます。診断書を書く負担そのものについては精神科の書類の負担に書いています。

3つの診断書 ― 一覧

障害年金(精神の障害用) 自立支援医療(精神通院) 精神障害者保健福祉手帳
根拠 国民年金法・厚生年金保険法 障害者総合支援法 精神保健福祉法
提出先 日本年金機構 都道府県・指定都市(申請は市区町村) 都道府県・指定都市(申請は市区町村)
書ける医師 原則、精神保健指定医または精神科を標ぼうする医師(てんかん・発達障害・認知症などは、診断・治療に従事する他科の主治医も可) 指定自立支援医療機関で精神障害の診断・治療に従事する医師 精神保健指定医その他精神障害の診断・治療に従事する医師
時期の要件 障害認定日(初診日から1年6か月)以降 — 初診日から6か月以上経過した時点
有効期間 請求のたび 受給者証は1年ごとの更新 2年
判定の枠組み 日常生活能力の判定7項目+程度5段階 → 等級判定ガイドラインの目安表 「重度かつ継続」の該当 能力障害の状態8項目 → 1〜3級
病名の書き方 ICD-10コードを併記 ICD-10(F00〜F99、G40)を併記 ICD-10を併記

障害年金の診断書 ― 判定7項目と程度5段階

障害年金の診断書(精神の障害用)で審査の中心になるのは、「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の2つの欄です。

日常生活能力の判定は7項目について、それぞれ4段階で判定します。

項目 4段階
(1) 適切な食事 できる/自発的にできるが時には助言や指導を必要とする/自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる/助言や指導をしてもできない若しくは行わない
(2) 身辺の清潔保持 同上
(3) 金銭管理と買い物 同上
(4) 通院と服薬 同上
(5) 他人との意思伝達及び対人関係 同上
(6) 身辺の安全保持及び危機対応 同上
(7) 社会性 同上

判定は「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して行います。実際には家族の援助を受けていても、援助がない場合を想定して判定する、という考え方です。

日常生活能力の程度は、5段階から1つを選びます。(1)精神障害を認めるが社会生活は普通にできる、から、(5)身のまわりのこともほとんどできないため常時の援助が必要である、までです。

平成28年9月1日から実施されている等級判定ガイドラインは、この「程度」(1〜5)と「判定」の7項目の平均値を組み合わせた障害等級の目安の表を示しています。そのうえで、現在の病状や状態像、療養状況、生活環境、就労状況などを総合して等級が判定されます。記載要領は「できるかぎり詳細かつ具体的に」と繰り返し求めていて、目安表に載る数字だけでなく、その根拠になる生活の具体が読まれます。

自立支援医療の診断書 ― 「重度かつ継続」

自立支援医療(精神通院医療)の診断書は、指定自立支援医療機関で精神障害の診断または治療に従事する医師が書きます。病名はICD-10にもとづく精神疾患名を日本語で記入し、F00〜F99またはG40のコードを併記します。

記載する主な欄は、推定発病年月・発病状況・初発症状・初診年月日・治療の経過、現在の病状(治療を中止したときに出現する可能性のある症状を含む)、治療方針、そして「重度かつ継続」の該当です。「重度かつ継続」は、一定の所得水準を超える方が対象になるかどうかを分ける区分で、計画的・集中的な継続治療を要する場合にチェックします。この区分の診断には3年以上の精神医療の経験を有する医師が要り、精神保健指定医の場合はその番号を記載します。

自治体の医療機関向けの案内では、知的障害や認知症のみの場合は対象外であること、投薬内容は自立支援医療の対象となる薬剤のみ記載すること、訪問看護の指示がない場合は訪問看護が対象にならないこと、診療担当科名の記入もれが多いことが、留意点として挙げられています。

手帳の診断書 ― 初診日から6か月、有効期間2年

精神障害者保健福祉手帳の診断書は、初診日から6か月以上経過した時点のものが要件です。前医があれば、前医の初診日を記載します。有効期間は2年で、更新のたびに診断書が要ります。

判定は、(1)精神疾患の存在の確認、(2)精神疾患の状態の確認、(3)能力障害の状態の確認、(4)精神障害の程度の総合判定、という順で行われます。能力障害の状態は次の8項目について段階で記載し、現時点だけでなく、おおむね過去2年間に認められたもの、おおむね今後2年間に予想されるものも含めて判定します。

能力障害の状態 8項目
適切な食事摂取
身辺の清潔保持、規則正しい生活
金銭管理と買物
通院と服薬
他人との意思伝達・対人関係
身辺の安全保持・危機対応
社会的手続や公共施設の利用
趣味・娯楽への関心、文化的社会的活動への参加

障害年金の判定7項目と似ていますが、項目の切り方と段階が違います。同じ患者さんについて両方を書くとき、片方の判定をもう片方に写すことはできません。

記録から埋まる欄と、改めて判断する欄

3つの診断書に共通して、日々の診療録に書かれていれば転記で埋まる欄と、書く時点で改めて聞き取って判断する欄があります。

記録から埋まる欄 改めて判断する欄
初診年月日(前医の初診日を含む) 日常生活能力の判定・程度(年金)
推定発病年月・発病状況・初発症状 能力障害の状態(手帳)
治療の経過(入院・通院の別、期間、転帰) 「重度かつ継続」の該当(自立支援)
投薬の内容(種類・量・期間) 現症時の就労状況・生活環境
現在の症状・状態像 予後の見通し
精神科の検査・尺度の結果(GAFなど) 治療方針

診断書を書くのに時間がかかるのは、たいてい左の列を診療録から探し直しているときです。初診日が別の紙にある、投薬の変遷が処方箋の束をめくらないと分からない、6か月前の症状が本文のどこかにある。右の列は医師の判断なので時間がかかって当然ですが、左の列は記録の側が整っていれば探す時間がなくなります。

MENTRAでは、書類と記録をどうつなぐか

MENTRAのAI書類作成は、日々の診療録から診断書の「記録から埋まる欄」を引いてきて、様式どおりに仕上げます。初診日・治療の経過・投薬の変遷・現在の症状が記録の側に構造化されて残っていれば、診断書を書くときに探し直す時間がなくなります。「改めて判断する欄」は、医師が書く欄として残ります。

貴院で書く頻度の高い診断書の様式に合わせて、記録のどの項目が書類のどの欄に対応するかは、個別に検討してご提案しています。AI書類作成の詳細とあわせて、お気軽にご相談ください。


参考

よくあるご質問

3つの診断書はどれも同じ医師が書けますか

障害年金の診断書は、原則として精神保健指定医または精神科を標ぼうする医師が書きます(てんかん・知的障害・発達障害・認知症・高次脳機能障害などは、診断・治療に従事する他科の主治医も可)。自立支援医療と手帳は「精神保健指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師」が書きます。自立支援医療の「重度かつ継続」に該当する場合は、3年以上の精神医療の経験を有する医師が要ります。

障害年金の診断書で、審査の側はどこを見ますか

「日常生活能力の判定」7項目の平均と「日常生活能力の程度」5段階を組み合わせた目安表が、平成28年9月から実施されている等級判定ガイドラインに示されています。そのうえで、現在の病状・療養状況・生活環境・就労状況などを総合して判定されます。

手帳の診断書はいつから書けますか

初診日から6か月以上経過した時点の診断書が要件です。前医があれば前医の初診日を記載します。有効期間は2年で、更新のたびに診断書が要ります。

診療録から自動で埋まる欄はありますか

初診日・治療の経過・投薬の内容・現在の症状は、日々の診療録に書かれていれば転記で埋まります。日常生活能力の判定や程度、就労状況は、書く時点で改めて聞き取って判断する欄です。この2つを分けておくと、診断書を書く時間が短くなります。

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