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通院精神療法の診療録記載 ― 時間・要点・加算の要件を、どう残すか
目次
通院・在宅精神療法とは、精神科の外来で、医師が患者さんに対して行う精神療法を評価する診療報酬の項目(I002)です。算定できるのは診療に要した時間が5分を超えたときで、時間の区分(30分・60分)と、行ったのが精神保健指定医かどうかで点数が分かれます。
この項目で診療録の記載が問われるのは、要した時間と要点の2つです。加算や減算の要件も診療録の記載で判断されます。この記事では、算定の要件と点数の区分、診療録に記載する事項、そして記録の側で何を持っておくかを整理します。
算定の要件 ― 5分超、初診日は30分超
告示は、「通院・在宅精神療法は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。ただし、初診料を算定する初診の日において通院・在宅精神療法を行った場合は、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する」と定めています。
算定の頻度は、入院中の患者以外について、退院後4週間以内は週2回、それ以外は週1回が上限です。
点数の区分 ― 時間と指定医かどうか
通院精神療法(I002 の「1」)の点数は次のとおりです。
| 区分 | 時間 | 精神保健指定医 | それ以外 |
|---|---|---|---|
| イ 措置入院退院後の患者(支援計画にもとづく療養) | — | 660点 | 660点 |
| ロ 初診料を算定する初診の日 | 60分以上 | 650点 | 550点 |
| 30分以上60分未満 | 550点 | — | |
| ハ イ・ロ以外 | 30分以上 | 410点 | 390点 |
| 30分未満 | 315点 | 290点 |
在宅精神療法(I002 の「2」)は、時間の区分が通院精神療法と一部異なります。
| 区分 | 時間 | 精神保健指定医 | それ以外 |
|---|---|---|---|
| イ 措置入院退院後の患者(支援計画にもとづく療養) | — | 660点 | 660点 |
| ロ 初診料を算定する初診の日 | 60分以上 | 650点 | 600点 |
| 30分以上60分未満 | 550点 | — | |
| ハ イ・ロ以外 | 60分以上 | 590点 | 540点 |
| 30分以上60分未満 | 410点 | 390点 | |
| 30分未満 | 315点 | 290点 |
(令和8年度改定後の告示による。今日の臨床サポート「I002 通院・在宅精神療法」で原文を確かめられます。点数は改定で変わるので、算定時は現行の告示を確かめてください。)
通院精神療法のハでは、30分以上なら指定医が行えば410点、それ以外なら390点です。誰が行ったかと何分かかったかの2つが、点数を決めます。
診療録に記載する事項 ― 時間と要点
通知は、通院・在宅精神療法を算定するにあたって、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に、当該診療に要した時間を10分単位で記載することを求めています。また、精神療法を行った場合はその要点を診療録に記載します。
| 記載する事項 | どこに | どう |
|---|---|---|
| 診療に要した時間 | 診療録と明細書の摘要欄 | 10分単位 |
| 精神療法の要点 | 診療録 | 扱った主題・働きかけ・反応・方針 |
| 行った医師 | 診療録 | 指定医かどうかが分かる形 |
「要点」は、その日の精神療法で何を扱い、どう働きかけたかが次に読む人に分かる程度です。「精神療法施行」の1行では要点になりません。扱った主題と、患者さんの反応、次回に向けた方針が入っていれば、要点として読めます。
加算と減算 ― 診療録の記載が要件
通院・在宅精神療法には、診療録の記載を要件とする加算と減算があります。
20歳未満の加算(注3)。 20歳未満の患者さんに行った場合、その医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内に限り、320点を所定点数に加算します。精神科の初診日が診療録で確かめられることが前提です。
特定薬剤副作用評価加算(注5・25点・月1回)。 抗精神病薬を服用中の患者さんについて、精神保健指定医またはこれに準ずる者が、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いて評価し、薬物療法の治療方針を決めた場合に算定します。別紙様式33に準じて評価し、その結果と決定した治療方針を診療録に記載します。尺度の付け方はDIEPSSとは何かに書いています。
向精神薬多剤投与の減算(注6)。 1回の処方で抗うつ薬または抗精神病薬を2種類以上投与した場合は、種類数と医療上の必要性、副作用等を患者さんに説明し、説明した内容を診療録に記載するとともに、説明を行った旨を明細書の摘要欄に記載します。一定の種類数を超える多剤投与には減算があります。
注13の施設基準(令和8年度)。 令和8年度改定で、一定の施設基準を満たさない場合の減算が置かれました。令和8年6月の疑義解釈では、6月1日時点で該当する入院料や加算の届出がある医療機関は6月・7月診療分は減算の対象とならず、8月診療分以降も100分の100で算定するには8月3日までに届出を行うこと、と示されています。
記録の側で何を持つか
時間が10分単位で残っていない。 「30分程度」では10分単位になりません。開始と終了、または要した時間を、診療録に数字で残します。
要点が1行しかない。 「精神療法施行」だけの記録は、要点の記載として弱いだけでなく、次の診察で前回何を扱ったかが分かりません。主題・働きかけ・反応・方針の4つを持つと、要点にも申し送りにもなります。
誰が行ったかが分からない。 指定医かどうかで点数が変わるので、行った医師が診療録で分かることが要ります。担当医が自動で入る形にしておくと、書き忘れが減ります。
加算の根拠が別の場所にある。 20歳未満の加算なら精神科の初診日、特定薬剤副作用評価加算ならDIEPSSの結果と治療方針、多剤投与なら説明の内容。それぞれが同じ日の診療録に並んでいると、算定の確認が記録を探し直さずに済みます。
MENTRAでは、診察の記録をどう作っているか
MENTRAのAIカルテは、診察の会話から記録の下書きを作り、医師が確認して確定する形です。診察記録の担当医が自動で入り(診察記録の担当医が自動で入るようにしました)、会話から作る下書きには、その日に扱った主題と患者さんの言葉が残ります。「要点」として求められる主題・働きかけ・反応・方針を、会話から下書きにする形です。
要した時間の10分単位の記載や、加算の根拠を同じ日の記録に並べることを、記録の構造としてどう持つかは、施設の運用に合わせて個別に検討してご提案しています。AIカルテ・診療記録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。
参考
- 今日の臨床サポート「I002 通院・在宅精神療法」(点数の区分・5分超と初診日30分超・週の回数・注3 20歳未満の加算・注5 特定薬剤副作用評価加算・注6 多剤投与、の告示と通知の文言)
- 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「疑義解釈資料の送付について」(令和8年6月17日。通院・在宅精神療法の注13の施設基準と届出の期限)
- jimunext「精神科診療報酬算定の基本」(令和6年11月。要した時間を10分単位で診療録と摘要欄に記載すること)
よくあるご質問
通院精神療法は何分から算定できますか
診療に要した時間が5分を超えたときに算定できます。初診料を算定する初診の日に行った場合は、30分を超えたときに限られます。時間は診療録と診療報酬明細書の摘要欄に10分単位で記載します。
精神保健指定医かどうかで点数は変わりますか
変わります。同じ時間の区分でも、精神保健指定医による場合とそれ以外の場合で点数が分かれています。誰が行ったかが診療録で分かることが要ります。
20歳未満の加算とは何ですか
20歳未満の患者さんに通院・在宅精神療法を行った場合、その医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内に限り、320点を所定点数に加算します。初診日が診療録で確かめられることが前提です。
「要点を記載する」とは、どのくらい書けばよいですか
その日の精神療法で何を扱い、どう働きかけたかが、次に読む人に分かる程度です。「精神療法施行」の1行では要点になりません。扱った主題と、患者さんの反応、次回に向けた方針が入っていれば要点として読めます。
