テックブログ

CP換算(クロルプロマジン換算)表と計算機 ― 2022年版20剤

目次
  1. CP換算は、どこで使うのか
  2. CP換算表(2022年版・主要20剤)
  3. 計算のしかたと計算例
  4. 持効性注射剤(LAI)の換算
  5. CP換算値が高いと、どうなるのか
  6. クロザピンの「600mg」は、合計ではなく薬剤ごと
  7. 合計が高いときに、記録で並べて見るもの
  8. 換算の限界 ― 何を揃えていないか
  9. 記録に残すとき、何が起きるか
  10. MENTRAでは、薬の名前をどう記録に置いているか

クロルプロマジン換算(CP換算)とは、種類の違う抗精神病薬の量を、クロルプロマジン100mgに相当する量を基準にして揃え、処方全体の総量を見る方法です。リスペリドン1mg、ハロペリドール2mg、オランザピン2.5mg、アリピプラゾール4mgが、それぞれクロルプロマジン100mgに相当する、というように換算します。

換算値は、稲垣中・稲田俊也による抗精神病薬の等価換算表が広く使われていて、日本精神科評価尺度研究会が版ごとに公開しています(最新は2022年版)。この記事では、2022年版の主要20剤と持効性注射剤(LAI)の換算表、計算例、CP換算値が高いときに引かれる数字(クロザピンの600mg基準など)、そして換算した結果を記録に残すときに起きる問題を整理します。換算表のすぐ下に、1日量からCP換算値と合計を出し、記録に貼れる1行にまとめる計算機を置いています。

CP換算は、どこで使うのか

CP換算が出てくる場面は主に3つです。

  • 処方全体の総量を見るとき — 複数の抗精神病薬が処方されている患者さんで、合計してどのくらいの量になっているかを一つの数字で把握するとき
  • 減薬の計画 — 単剤化や減量を進めるとき、どの薬をどのくらい減らせば総量がどう動くかを見るとき
  • 研究・症例の記述 — 論文や症例報告で処方の強さを揃えて示すとき

診療報酬との関係で一つ注意が要ります。通院・在宅精神療法の向精神薬多剤投与減算は、抗精神病薬3種類以上などの「種類数」で決まる要件で、CP換算の総量は要件ではありません。CP換算は減算を避けるための道具ではなく、総量を把握して減薬を考えるための道具です。

CP換算表(2022年版・主要20剤)

クロルプロマジン100mgに相当する各薬剤の1日量は、次のとおりです(稲垣・稲田 2022年版 経口剤から主要20剤を引用)。数字が小さい薬剤ほど、少ない量でクロルプロマジン100mgと同じ抗精神病作用になる、という読み方です。商品名は添付文書の販売名で確かめたものです。

薬剤(一般名) クロルプロマジン100mg相当量 主な商品名
リスペリドン 1mg リスパダール
オランザピン 2.5mg ジプレキサ
アリピプラゾール 4mg エビリファイ
クエチアピン 66mg セロクエル
ブレクスピプラゾール 0.5mg レキサルティ
ルラシドン 10mg ラツーダ
ブロナンセリン 4mg ロナセン(錠・散)
ブロナンセリン(テープ剤) 20mg ロナセンテープ
パリペリドン 1.5mg インヴェガ
ペロスピロン 8mg ルーラン
アセナピン 2.5mg シクレスト
クロザピン 50mg クロザリル
クロルプロマジン 100mg コントミン・ウインタミン
レボメプロマジン 100mg ヒルナミン・レボトミン
ハロペリドール 2mg セレネース
ブロムペリドール 2mg ブロムペリドール錠(後発品)
フルフェナジン 2mg フルメジン
ペルフェナジン 10mg ピーゼットシー・トリラホン
スルピリド 200mg ドグマチール
ゾテピン 66mg ロドピン

研究会の経口剤の表には、発売中止の薬剤を含めて42剤が載っています。この表に無い薬剤は原典で確かめてください。

計算のしかたと計算例

CP換算値(mg)= 1日量(mg)÷ クロルプロマジン100mg相当量(mg)× 100 で、薬剤ごとに出して足し合わせます。

処方(1日量) 計算 CP換算値
リスペリドン3mg 3 ÷ 1 × 100 300mg
オランザピン5mg 5 ÷ 2.5 × 100 200mg
上の2剤の合計 300 + 200 500mg
クエチアピン300mg 300 ÷ 66 × 100 約455mg
ブレクスピプラゾール2mg 2 ÷ 0.5 × 100 400mg
ロナセンテープ40mg 40 ÷ 20 × 100 200mg

オランザピンのCP換算なら、1日10mgでCP400mg、20mgでCP800mgです。同じブロナンセリンでも、錠剤8mgとテープ剤40mgがどちらもCP200mgになるように、剤形で換算値が違う点に気をつけます。

CP換算の計算機

1日量を入れると、薬剤ごとのCP換算値と合計がその場で出ます。換算前の処方・各薬剤の換算値・合計・換算表の版を、記録やカンファレンスの資料に貼れる1行にまとめます。

計算のしかた CP換算値(mg)= 1日量(mg)÷ クロルプロマジン100mg相当量(mg)× 100

1mg = CP100mgmg/日—
2.5mg = CP100mgmg/日—
4mg = CP100mgmg/日—
66mg = CP100mgmg/日—
0.5mg = CP100mgmg/日—
10mg = CP100mgmg/日—
4mg = CP100mgmg/日—
20mg = CP100mgmg/日—
1.5mg = CP100mgmg/日—
8mg = CP100mgmg/日—
2.5mg = CP100mgmg/日—
50mg = CP100mgmg/日—
100mg = CP100mgmg/日—
100mg = CP100mgmg/日—
2mg = CP100mgmg/日—
2mg = CP100mgmg/日—
2mg = CP100mgmg/日—
10mg = CP100mgmg/日—
200mg = CP100mgmg/日—
66mg = CP100mgmg/日—
1日量をmgで入力

持効性注射剤(1回量を入れると、1日あたりのCP換算値になります)

18.75mg/4週 = CP100mg/日mg/4週—
100mg/4週 = CP100mg/日mg/4週—
10mg/2週 = CP100mg/日mg/2週—
30mg/4週 = CP100mg/日mg/4週—
15mg/4週 = CP100mg/日mg/4週—
1回の投与量をmgで入力
合計CP 0mg

換算係数の出典: 日本精神科評価尺度研究会「抗精神病薬の等価換算 −稲垣&稲田(2022)版−」(経口剤の値)・同「抗精神病薬(持効性注射製剤)の等価換算」。 本文の「CP換算表」と「持効性注射剤(LAI)の換算」の表と同じ値です。ほかの薬剤や貴院の採用薬の換算も、同じ形でご相談に応じます。

持効性注射剤(LAI)の換算

持効性注射剤は、投与間隔ごとの量を「経口のクロルプロマジン100mg/日」に対応させた表が別にあります(2022年版 持効性注射製剤。2015年版から変更なし)。

製剤(一般名) 経口クロルプロマジン100mg/日に相当する量 主な商品名
パリペリドンパルミチン酸エステル 18.75mg/4週 ゼプリオン
アリピプラゾール持続性注射 100mg/4週 エビリファイ持続性水懸筋注用
リスペリドン持効性注射 10mg/2週 リスパダール コンスタ
ハロペリドールデカン酸エステル 30mg/4週 ハロマンス
フルフェナジンデカン酸エステル 15mg/4週 フルデカシン

計算は経口剤と同じで、たとえばゼプリオン75mg/4週は 75 ÷ 18.75 × 100 = CP400mg/日、リスパダール コンスタ25mg/2週は CP250mg/日です。経口剤と併用していれば、1日あたりの値として足し合わせます(ゼプリオン75mg/4週+オランザピン10mg/日なら CP800mg/日)。

表の投与間隔と違う剤形(3か月ごとに投与する製剤など)は、この表の値では換算できません。換算したなら、その方法を記録に書き添えておくと、あとで読む人が値を追えます。

CP換算値が高いと、どうなるのか

「何mgから高いのか」に一律の線はありませんが、よく引かれる数字があります。出どころと、処方の合計に対して使う数字か、薬剤ごとに使う数字かが違います。

数字 出どころ 何に対して見るか
600mg/日以上 クロザピン(クロザリル錠)の添付文書「反応性不良の基準」 薬剤ごと(2種類以上の抗精神病薬を、それぞれ十分量・4週間以上)
1,000mg以上 地域精神保健福祉機構(コンボ)の解説 処方全体の合計(大量投与の可能性がある量として)
600〜1,000mg 同じくコンボの解説 処方全体の合計(適切な量を少し越えている可能性として)
300〜600mg 同じくコンボの解説 処方全体の合計(適正な量の目安として)

クロザピンの「600mg」は、合計ではなく薬剤ごと

この中で、CP換算値が公的な文書の要件として出てくるのはクロザピンです。添付文書の「効能又は効果に関連する注意」は、反応性不良の基準を「2種類以上の十分量の抗精神病薬(クロルプロマジン換算600mg/日以上で、1種類以上の非定型抗精神病薬を含む)を十分な期間(4週間以上)投与しても反応がみられなかった患者」としています(クロザリル錠 添付文書(JAPIC)・PMDA)。

注には、非定型抗精神病薬が併用されている場合は「クロルプロマジン換算で最も投与量が多い薬剤を対象とする」とあります。処方の合計ではなく、薬剤ごとの換算値で見る形です。定型抗精神病薬は1年以上の治療歴があることも求められ、「反応がみられない」は GAF 41点以上に相当する状態になったことがない、と定義されています(GAFの付け方)。

表から割り戻すと、たとえばリスペリドンなら1日6mg、オランザピンなら1日15mgがCP600mg/日に当たります(6 ÷ 1 × 100 = 600、15 ÷ 2.5 × 100 = 600)。

この基準を確かめるには、過去の処方を、薬剤ごと・期間つきでさかのぼれる記録が要ります。合計のCP換算値だけが残っている記録からは、この確認に使う値を取り出せません。

合計が高いときに、記録で並べて見るもの

合計が1,000mgを超えるような処方では、どの薬剤が総量を押し上げているか、換算に乗らない鎮静の強い薬剤や頓用がどれだけあるかを、換算前の処方と並べて見ます。コンボの解説は、CYP(薬物代謝酵素)を介した相互作用で血中濃度が上がる組み合わせがCP換算値に反映されない点にも触れています(例: リスペリドンとパロキセチン、オランザピンとフルボキサミン)。減量や単剤化を話し合うときの材料として、換算値と処方を同じ場所に残しておくのが実務的です。

換算の限界 ― 何を揃えていないか

CP換算が揃えているのは抗精神病作用の強さだけです。鎮静作用や、錐体外路症状の出やすさ、体重増加などの作用は換算の対象になっていません。オランザピン10mgとハロペリドール8mgはどちらもCP400mg相当ですが、患者さんにとっての体験はまったく違います。

研究会が公開している版は2010・2012・2015・2017・2022年版です。版ごとの経口剤の表を並べると、既存の薬剤の値は変わっておらず、変わったのは載っている薬剤です。2017年版でアセナピン、2022年版でブレクスピプラゾール・ルラシドン・ブロナンセリンのテープ剤が加わりました。古い版の表を使っていると、新しい薬剤を含む処方は換算できない薬剤が出て、合計が小さく出ます。

もう一つ、総量を大きく動かすのは表そのものの違いです。インターネット上には、稲垣・稲田の表とは別の値(たとえばリスペリドン約2mg・オランザピン約5mgを100mg相当とする値)を載せたページもあります。リスペリドン3mg+オランザピン5mgの処方は、稲垣・稲田の表では CP500mg、この値では CP250mg と、同じ処方で2倍違います。

使った表 リスペリドン3mg オランザピン5mg 合計
稲垣・稲田(2022年版) 300mg(1mg=100) 200mg(2.5mg=100) 500mg
別の値(約2mg・約5mg=100) 150mg 100mg 250mg

研究会の「等価換算表を利用する際の留意点」は、換算値を、エキスパートが作成した換算表のコンセンサスと二重盲検比較試験の成績の2つを根拠にした大まかな目安と位置づけ、鎮静作用などは評価の対象になっていないこと、併用薬や薬物代謝酵素の活性に個人差があることを示しています。

記録に残すとき、何が起きるか

換算後の総量だけが残って、換算前の処方が残らない。 「CP換算600mg」とだけ書いてあると、次に読む人はどの薬が何mgで600になったのか分かりません。換算前の処方と、換算後の各薬剤の値、合計を並べて残します。

どの表・どの版で換算したかが残らない。 表が違えば同じ処方で合計が2倍違うことがあり、古い版では新しい薬剤を換算できません。表と版を残さないと、経過の中で総量が動いた理由が処方の変更なのか換算のしかたの変更なのか区別できません。

合計だけが残って、薬剤ごとの値と期間が残らない。 クロザピンの基準のように、薬剤ごとに「600mg/日以上・4週間以上」を確かめる場面では、合計値は使えません。薬剤ごとの換算値と、その量を続けた期間を残します。

持効性注射剤が換算から抜ける。 内服だけを足して合計を出すと、注射剤の分が抜けます。投与間隔ごとの量を1日あたりに直して、同じ合計に入れます。

毎回計算し直す。 処方が変わるたびに手で換算し直す運用だと、計算そのものが負担になり、記録が途切れます。換算表は公開されていて、計算のページもあるので、処方から総量が機械で出る形にしておくのが実務的です。

薬の名前の聞き取り違い。 音声で診察の記録を作るとき、薬の名前は聞き取りが揺れやすい語です。名前が1文字違えば換算値も変わります。換算の前に、名前が正しく記録に入っていることが要ります。

MENTRAでは、薬の名前をどう記録に置いているか

MENTRAのAIカルテでは、診察の会話から記録の下書きを作るときに、薬の名前の聞き取りを高め、確かめたい箇所に印が出るようにしています(薬の名前の聞き取りを高め、確かめたい箇所に印が出るようにしました)。名前が正しく記録に入っていることが、換算を含むその先のすべての前提になるためです。

CP換算のように処方から機械で出せる値は、換算の版と一緒に記録の側で持つ形にすると、手計算の負担と版の取り違えが同時に無くなります。貴院で使っている換算の版や様式に合わせて記録の欄を組めるかは、個別に検討してご提案しています。AIカルテ・診療記録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。

換算の表と版、換算前の処方、薬剤ごとの換算値と期間、注射剤を含む合計を、記録の欄として組み込みます。貴院の採用薬に合わせた表の組み方も、個別にご相談ください。


参考

よくあるご質問

CP換算の数字はどこから来ていますか

稲垣中・稲田俊也による抗精神病薬の等価換算表が広く使われていて、日本精神科評価尺度研究会が版ごとに公開しています。最新は2022年版です。地域精神保健福祉機構(コンボ)が、この換算表にもとづく計算ページを公開しています。

CP換算値が高いとは、何mgくらいからですか

一律の線は決まっていませんが、よく引かれる数字があります。クロザピン(クロザリル)の添付文書は、反応性不良の基準として「クロルプロマジン換算600mg/日以上」の抗精神病薬を2種類以上、4週間以上使ったことを挙げています(併用時は換算で最も多い薬剤を対象とする)。地域精神保健福祉機構(コンボ)の解説は、処方の合計について1,000mg以上を大量投与の可能性、300〜600mgを適正な量の目安として紹介しています。どの数字も、どの表で換算したかで動くので、記録には表と版を一緒に残します。

ロナセンテープ(ブロナンセリンのテープ剤)のCP換算はいくつですか

稲垣・稲田の2022年版では、ブロナンセリン経皮吸収型製剤20mgがクロルプロマジン100mgに相当します。錠剤のブロナンセリンは4mgで100mg相当なので、同じブロナンセリンでも剤形で換算値が違います。2017年版以前の表には載っていません。

持効性注射剤(LAI)もCP換算できますか

できます。研究会の表では、パリペリドンパルミチン酸エステル18.75mg/4週、アリピプラゾール持続性注射100mg/4週、リスペリドン持効性注射10mg/2週などが、経口のクロルプロマジン100mg/日に相当します。ゼプリオン75mg/4週ならCP400mg/日です。

診療報酬の多剤投与の減算はCP換算で決まりますか

いいえ、種類数で決まります。通院・在宅精神療法の向精神薬多剤投与減算は、抗精神病薬3種類以上などの「種類数」が要件で、CP換算の総量は要件ではありません。CP換算は減薬の計画や総量の把握に使う道具です。

ベンゾジアゼピンや抗うつ薬にも換算はありますか

あります。ベンゾジアゼピン系はジアゼパム換算(DZP換算)、抗うつ薬はイミプラミン換算(IM換算)が同じ等価換算表に載っています。

↑ このページの先頭へ

まずは、30分だけ話を聞かせてください。

今の記録の流れを伺うところからで大丈夫です。資料の準備は不要です。

精神科病院からメンタルクリニックまで、規模を問わず。院内の運用に合わせた調整もご相談ください。