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精神科訪問看護指示書の書き方 ― 別紙様式17の欄・特別指示書・依頼文例

目次
  1. 誰が交付するのか ― 精神科の医師に限る
  2. 精神科特別訪問看護指示書 ― 急性増悪時の14日間
  3. 指示書に何を書くか
  4. 留意事項の書き方の例(架空の例)
  5. 指示書の内容は、記録にどうつながるか
  6. 記録の側で持っておくべきこと
  7. 更新を依頼するとき ― 訪問看護ステーションからの依頼文の例
  8. MENTRAでは、訪問看護の記録をどう作っているか

精神科訪問看護指示書とは、精神科の医師が、訪問看護ステーションに対して交付する指示書です。診療報酬では精神科訪問看護指示料として300点・患者1人につき月1回が算定され、有効期間は6月以内で指示書に記載します。一般の訪問看護指示書と違って、交付できるのは精神科の医師に限られます。

指示書は医師が書いて事業所が受け取る文書ですが、その内容は訪問看護の計画書・記録書・報告書のすべてに効いてきます。この記事では、指示書の要件と記載する項目、急性増悪時の特別指示書、そして指示書の内容が記録にどうつながるかを整理します。訪問看護の記録そのものの書き方は精神科訪問看護の記録に書いています。

誰が交付するのか ― 精神科の医師に限る

診療報酬の告示では、精神科訪問看護指示料は「当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医(精神科の医師に限る。)が、診療に基づき指定訪問看護事業者からの指定訪問看護の必要を認め、患者又はその家族等の同意を得て当該患者等の選定する訪問看護ステーションに対して、精神科訪問看護指示書を交付した場合」に算定する、と定めています。

項目 内容
交付できる医師 診療を担う保険医療機関の保険医のうち、精神科の医師
点数 精神科訪問看護指示料 300点
算定の頻度 患者1人につき月1回
有効期間 6月以内で記載する(1か月の指示なら記載を要しない)
前提 診療にもとづくこと・患者または家族等の同意
一般の訪問看護指示料との関係 精神科訪問看護指示料を算定した場合、訪問看護指示料(C007)は算定しない

「診療に基づき」とあるとおり、指示書は診察の結果として書く文書です。診察から時間が経ってから、あるいは診察をせずに更新することはできません。

通知(I012-2 精神科訪問看護指示料)には、医師の側で残すことも書かれています。

通知の定め 医師の側で残すこと
緊急時の連絡先として、医療機関の電話番号等を必ず記載 連絡先が最新か
原則として主たる傷病名の傷病名コードを記載 コード
交付した指示書の写しを診療録に添付 写し
交付後も病状等に応じて期間を変更できる 変更した日と理由
同一月に複数のステーションへ交付しても、算定は月1回 交付先の一覧

指示書は、患者さんの求めに応じて、患者さんや家族等を介してステーションへ渡すこともできます。

精神科特別訪問看護指示書 ― 急性増悪時の14日間

服薬の中断などで急性増悪した患者さんについて、医師が一時的に頻回の訪問看護が必要と認めたときは、その旨を記載した精神科特別訪問看護指示書を交付します。

項目 内容
対象 服薬中断等により急性増悪した患者
有効期間 指示日から14日間
加算 精神科特別訪問看護指示加算 100点・月1回
効果 期間中は頻回(毎日)の訪問看護が可能

特別指示書の様式は別紙様式17の2で、「一時的に訪問看護が頻回に必要な理由」と、特に観察を要する項目(服薬確認/水分及び食物摂取の状況/精神症状/身体症状/その他)に丸をつける欄があります。通知は、ここでいう頻回の必要性を「恒常的な頻回の指定訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている指定訪問看護の回数では対応できない場合」とし、その理由を指示書に書くことを求めています。訪問看護報告書の暦では、特別指示書にもとづく訪問日は△で囲んで区別します。

指示書に何を書くか

様式は、通知が「参考に作成」するよう示している別紙様式17です(様式(医科)令和8年度)。欄と、その欄が訪問看護の記録のどこにつながるかを並べます。

別紙様式17の欄 書くこと 記録のどこにつながるか
指示期間 ○年○月○日〜○年○月○日(6月以内) 期限の管理・更新の依頼
主たる傷病名・傷病名コード 傷病名とコード(原則として記載) 記録書Ⅰの傷病名
病状・治療状況 現在の状態 記録書Ⅰの現病歴・計画書の目標
投与中の薬剤の用量・用法 処方 記録書Ⅱの服薬状況の観察
病名告知 あり・なし 訪問時の言葉の選び方
治療の受け入れ 本人の受け止め 訪問時の関わり方
複数名訪問の必要性 あり・なしと理由(1〜4から) 複数名訪問の算定と記録
短時間訪問の必要性 あり・なし 訪問時間の記録
複数回訪問の必要性 あり・なし 1日の訪問回数の記録
日常生活自立度(認知症の状況) Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M 記録書Ⅰの生活状況
精神訪問看護に関する留意事項及び指示事項 1〜7から選び、具体を書く 🔴 計画書の看護目標と記録書Ⅱの観察項目
緊急時の連絡先・不在時の対応法・主治医との情報交換の手段 電話番号等(必ず記載) 急変時の連絡と報告書の返し方
特記すべき留意事項 上の欄に入らないこと 訪問前に読む注意

このうち「精神訪問看護に関する留意事項及び指示事項」が要です。ここに書かれた内容が、精神科訪問看護計画書の看護の目標になり、記録書Ⅱで毎回観察する項目になり、報告書で主治医に返す内容になります。

選択肢の7つは、1 生活リズムの確立/2 家事能力、社会技能等の獲得/3 対人関係の改善(家族含む)/4 社会資源活用の支援/5 薬物療法継続への援助/6 身体合併症の発症・悪化の防止/7 その他です。番号に丸をつけるだけだと、計画書の目標が「生活リズムの確立」のような見出しのまま止まります。番号の横に何をどこまでを一行書くと、そのまま計画と記録の観点になります。

留意事項の書き方の例(架空の例)

説明のために作った架空の例で、実在の患者さんの情報は含みません。

選んだ番号 丸だけのとき 一行そえたとき
1 生活リズムの確立 ○ 起床が昼を過ぎる日が週の半分。起床時刻と日中の活動を確認する
5 薬物療法継続への援助 ○ 夕食後薬の飲み忘れが続く。残薬を数え、飲めた日を本人と確認する
3 対人関係の改善(家族含む) ○ 母との口論のあと眠れなくなる。口論の有無と睡眠を一緒に聞く

右の列は、そのまま記録書Ⅱで毎回見る項目になり、報告書で主治医に返す内容になります。

指示書の内容は、記録にどうつながるか

指示書は医師から事業所への文書ですが、訪問看護の側では次の3つの文書に反映されます。

精神科訪問看護計画書。 厚生労働省の記載要領では、計画書の「看護の目標」は「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて」設定すると定めています。指示書の留意事項が、そのまま目標の材料です。

精神科訪問看護記録書Ⅱ。 訪問ごとに、食生活・清潔・排泄・睡眠・生活リズム・部屋の整頓等、精神状態、服薬等の状況、作業・対人関係、実施した看護内容等を記入します。指示書の「投薬の内容」と「留意事項」が、ここでの観察の焦点になります。月の初日の訪問時にはGAFの値も記入します。

精神科訪問看護報告書。 月ごとに主治医へ返す文書で、月の初日の訪問時のGAFの値と判定日を書きます。指示書を書いた医師が、この報告書を読んで次の指示書を書く、という往復になります。

指示書 → 計画書 → 記録書Ⅱ → 報告書 → 次の指示書、という往復が成り立っているかが、指示にもとづく訪問看護になっているかどうかの実態です。

記録の側で持っておくべきこと

有効期限。 指示期間を過ぎた訪問は、指示にもとづく訪問看護になりません。指示書の始期と終期を記録の側で持ち、期限が近づいたら主治医に更新を依頼する運用が要ります。通知では1か月の指示なら有効期間の記載を要しないとされているので、記載が無いときは1か月の指示であることを確かめます。

病名告知の有無。 訪問時に本人と病気の話をするとき、告知されていない病名を口にしないために、記録を開いたときに見える場所に持っておきます。

複数名訪問・短時間訪問の要否。 算定の根拠なので、指示書の記載と実際の訪問の形が一致していることを記録で示せる必要があります。

特別指示書の期間。 14日間の始期と終期、その期間中の訪問日を、暦の△で区別できる形で残します。

更新を依頼するとき ― 訪問看護ステーションからの依頼文の例

期限が近づいた指示書の更新は、訪問看護ステーションから主治医に依頼することがほとんどです。依頼文に指示書の欄が埋まる材料を添えると、医師が診察のときに書きやすくなります。次は説明のために作った架空の例です。

○○クリニック ○○先生

いつも大変お世話になっております。○○訪問看護ステーションの○○です。

○○様の精神科訪問看護指示書が○月○日で期限を迎えるため、次回のご診察の際に更新をお願いできますでしょうか。

この1か月の様子を、指示書の欄に沿ってお伝えします。

・服薬:夕食後薬の飲み忘れが週2回ありました(残薬で確認)

・生活リズム:起床は10時前後に安定してきています

・訪問の形:現在は1名で伺っています。複数名・短時間の必要は今のところありません

・留意事項のご相談:次の期間は「5 薬物療法継続への援助」を中心にしたいと考えています

直近の精神科訪問看護報告書を添付いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

報告書と依頼文が「指示書の欄」でそろっていると、指示書 → 計画書 → 記録書Ⅱ → 報告書 → 次の指示書、の往復が一枚ずつつながります。

MENTRAでは、訪問看護の記録をどう作っているか

MENTRAのAI看護記録は、精神科訪問看護の長い会話から記録の下書きを作り、看護師の方が確認して確定する形です(精神科訪問看護の記録は、長い会話からどう作られるのか)。記録書Ⅱで求められる観察の項目と、月の初日のGAFの欄を、記録を書く流れの中に置いています。

指示書の留意事項や有効期限のように「記録を開くたびに見えていてほしいもの」を、記録の側でどう持つかは、施設の運用によって形が違います。貴院・貴事業所の指示書の様式や運用に合わせて記録の欄を組めるかは、個別に検討してご提案しています。AI看護記録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。


参考

よくあるご質問

精神科訪問看護指示書は誰が書けますか

診療を担う保険医療機関の保険医のうち、精神科の医師に限られます。一般の訪問看護指示書と違い、精神科を担当する医師でなければ交付できません。

有効期間はどのくらいですか

指示書に6月以内の有効期間を記載して交付します。通知では、1か月の指示を行う場合は有効期間の記載を要しない、とされています。期限を過ぎると指示にもとづく訪問看護になりませんので、期限の管理が要ります。

精神科特別訪問看護指示書とは何ですか

服薬の中断などで急性増悪した患者さんに、一時的に頻回の訪問看護が必要と医師が認めたときに交付する指示書です。有効期間は14日間で、精神科特別訪問看護指示加算として100点が加算されます。

指示書に書かれた内容は、記録にも残す必要がありますか

指示書そのものは事業所が保管しますが、その内容は精神科訪問看護計画書の目標と、記録書Ⅱの観察項目、報告書の内容につながります。指示書に書かれた留意事項が記録に反映されていないと、指示にもとづく訪問看護になっていないと読まれます。

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