テックブログ

精神科訪問看護の記録は、長い会話からどう作られるのか

精神科訪問看護の記録は、訪問中の会話から作られます。ただしその会話は、外来の診察より長くなります。生活の様子、服薬の状況、睡眠、家族との関係、次の受診の予定まで、話題が自然に広がっていくためです。

MENTRAでは、この長い会話をそのまま音声で受け取り、記録の下書きにしています。ここでは、長い会話を扱うために何を考えて作っているかを書きます。

精神科の訪問看護では、1回の訪問が長くなる

外来の診察が数分から十数分で終わるのに対して、訪問看護は生活の場に入って話を聞きます。体調の確認だけでなく、その週にあった出来事や困りごとを一緒にたどることが、状態を把握する手がかりになります。

MENTRAの利用データでは、訪問看護の会話は平均22.8分でした。長いものでは1時間近くになります。診察と看護では、そもそも扱う音声の長さが違います。

そして訪問看護の記録は、聞いた話をそのまま並べるものではありません。バイタル、観察したこと、実施したケア、次回への申し送りというように、様式に沿って整理されます。会話の順番と、記録の順番は一致しません。

長い会話は、分けて同時に処理する

長い音声を扱うとき、素直な方法は「全部まとめて渡す」ことです。ただしこの方法は、会話が長くなるほど待ち時間がそのまま伸びていきます。

MENTRAでは、40分を超える会話を自動で分割し、それぞれを同時に文字起こしします。分けたものを順番につなぎ直してから、話者の切り分けと記録の整形を行います。まとめて1本で処理するより、待ち時間を短く保てます。

分けるかどうかは、音声の実際の長さを見て決めています。取り込んだファイルについては、ファイルサイズから長さを推測するのではなく、実際の再生時間を読み取ってから判断します。ファイル形式によって同じ長さでもサイズが大きく変わるため、実測した長さのほうが確かだからです。

分ける長さは、話者の切り替わりが残るところで決める

ここが設計で一番迷うところでした。

分割を細かくするほど、1つあたりの処理は速くなります。ただし短く刻みすぎると、誰がどこで話したかの切り分けが粗くなっていきます。訪問看護の記録では「看護師が確認したこと」と「利用者さんが話したこと」が区別されている必要があるので、ここが粗くなると記録として使いにくくなります。

そのため MENTRA では、分割を使うのは長い会話に限っています。多くの訪問はまとめて処理したほうが、話者の切り分けが細かく残るためです。速さだけを見て一律に細かく分ける作りにはしていません。

一般的な文字起こしツールと医療の記録で違うのは、この判断の基準です。会議の書き起こしなら発言者の区別が多少粗くても読めますが、臨床の記録では「本人の発言か、看護師の観察か」が記録の意味そのものを変えます。

22.8分の会話が、1.0分で記録の下書きになる

こうした処理を通して、MENTRAでは平均22.8分の訪問看護の会話が、中央値1.0分で記録の下書きになります(173件、すべて10分以内)。訪問から戻ってその場で確認・修正できる時間です。

記録の様式は診察・看護・面談・カンファレンス・福祉訪問の5種類に対応していて、様式ごとに整理の仕方を変えています。訪問看護であればバイタルと観察とケアの実施、カンファレンスであれば議題ごとの整理というように、同じ音声処理の上に様式ごとの整形が乗る構造です。

精神科訪問看護の記録づくりについては、AI看護記録のページでも詳しくご紹介しています。訪問の長さや記録の様式について気になる点があれば、お気軽にご相談ください。

まずは、30分だけ話を聞かせてください。

今の記録の流れを伺うところからで大丈夫です。資料の準備は不要です。

精神科病院からメンタルクリニックまで、規模を問わず。院内の運用に合わせた調整もご相談ください。