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児童精神科の記録は、成人の外来と何が違うのか
児童精神科・思春期外来の記録は、成人の外来の記録とかなり違います。理由ははっきりしていて、情報源が1つではないからです。
成人の外来では、基本的にご本人の語りが記録の中心になります。児童では、ご本人・保護者・学校という3つの情報源があり、それぞれ見ている場面が違います。
3つの情報源は、それぞれ何を持っているか
- ご本人 — いま感じていること。ただし言葉にできる範囲は年齢によって大きく変わる
- 保護者 — 家庭での様子、睡眠と食事、きょうだいとの関係、これまでの経過
- 学校 — 集団の中での様子、学習、友人関係、欠席の状況
この3つは、しばしば食い違います。家では落ち着いているのに学校で荒れている、その逆もあります。食い違い自体が臨床的な情報なので、記録の上で1つにまとめてはいけません。
成人向けのSOAPの様式にそのまま流し込むと、ここが潰れます。Sの欄に本人と保護者の話が混ざり、あとから読んだときにどちらが言ったことか分からなくなります。
3つの情報源は、見ている場面が違います。
| 情報源 | 見ている場面 | 記録で気をつけること |
|---|---|---|
| ご本人 | いま感じていること | 言葉にできる範囲が年齢で大きく変わる |
| 保護者 | 家庭での様子、睡眠と食事、これまでの経過 | ご本人の語りと混ざらないようにする |
| 学校 | 集団の中での様子、学習、友人関係、欠席 | 伝聞であることが分かる形で残す |
🔴 3つが食い違うこと自体が臨床的な情報なので、記録の上で1つにまとめません。
誰の発言かが分からない記録は、使えない
児童の診察室には、ほぼ必ず保護者が同席します。診察の会話を録音して記録にするとき、ここが最初の壁になります。
MENTRAでは、録音を始める前に同席する人数と、それぞれの役割(医師・患者・ご家族・スタッフ・付き添い)を選べるようにしています。文字起こしでは設定した役割ごとに発言が振り分けられるので、ご本人が話されたことと、保護者が話されたことが分かれて残ります。
年齢が低いお子さんの場合、診察のほとんどを保護者が話すこともあります。それでも「保護者が話した」という事実が記録に残っていることが、後から経過を追うときに効きます。
児童外来のSOAPを、別の種別として立てた
MENTRAは2026年8月に、児童外来のSOAPを独立した記録の種別として追加しました。成人の外来と同じ整え方では、必要な情報が落ちるからです。
記録の種別を分けると、その種別だけの書き方を持たせられます。児童外来では、ご本人の語り・保護者からの情報・学校での様子がそれぞれ別の情報として並ぶように整えます。
種別を増やしても、現場の操作は増えません。記録を作るときに種別を選ぶだけで、そのあとの流れは他の記録と同じです。様式が増えるほど覚えることが増えるという作りにしないことを、設計の前提にしています。
記録の重心は、経過にある
児童・思春期では、状態が短い期間で動きます。年単位で見れば発達そのものが変化します。だから1回の診察の完成度より、同じ観点で続けて記録されていることのほうが価値を持ちます。
3か月前と比べて何が変わったか。学校の様子はどうか。家での睡眠は。ここを比べられる形で残しておくと、診断書や意見書を書くときにも、就学・就労の相談に応じるときにも、そのまま材料になります。
書き分けは「精神科向け」では足りない
「精神科向けのAI」とひとくくりにすると、こういう差は埋まりません。同じ精神科の中でも、成人の外来と児童外来では記録に求められるものが違います。
MENTRAが記録の種別ごとに書き方を分けて持っているのは、この差を吸収するためです。AIカルテ・診療記録に仕組みをまとめています。児童外来で使われている記録の様式に合わせられるかは、実際の記録をお見せいただければ具体的にお答えできます。まずは現状の様式を見せていただくところからで構いません。
