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精神科の看護記録は、何をどう書くのか

目次
  1. 精神科の看護記録には、何を書くのか
  2. 「変わりなし」を減らすには、何を見ればよいか
  3. SOAPで書くとき、欄ごとに何が違うのか
  4. SとAの境目 ― 幻聴の訴えをどちらに置くか
  5. 記録に時間をかけると、患者さんと話す時間が減る
  6. AIの下書きは、何を残して何を落とすのか
  7. 記録の様式は、施設によって違う

精神科の看護記録は、身体科の看護記録と書く内容がかなり違います。点滴の滴下数や創部の状態のような、数字と処置で埋まる欄が少ないからです。

代わりに中心になるのは、観察と、関わりの記録です。どんな様子だったか、何を話されたか、どう応じたか。ここが薄いと、記録としての価値がほとんど残りません。

精神科の看護記録には、何を書くのか

大きく4つの層があります。

  • バイタルなどの数値 — 体温・血圧・脈拍。ここは他科と同じ
  • 全般的な状態 — 表情、活動性、睡眠、食事、清潔、対人的な様子
  • 日常生活の様子 — 服薬、金銭、外出、余暇、他患者との関わり
  • 関わりの内容 — 何を話し、看護師がどう応じ、その結果どうだったか

このうち、あとから読み返して意味を持つのは下の2つです。「変わりなし」で埋まった記録が続くと、経過が見えなくなります。

「変わりなし」を減らすには、何を見ればよいか

とはいえ、毎日大きな変化があるわけではありません。変化がない日をどう書くかが、精神科の看護記録の難しさです。

有効なのは、変化ではなく状態そのものを書くことです。「変わりなし」ではなく「日中は臥床が多く、声かけには短く応じられる」と書けば、1か月後に読み返したときに変化が見えます。差分は、後から比べる人が見つけるものです。

もうひとつは、患者さんの言葉をそのまま残すこと。要約した「不安を訴える」より、「夜になると誰かに見られている気がする、と話される」のほうが、次に読む人が判断できます。

SOAPで書くとき、欄ごとに何が違うのか

精神科の看護記録をSOAPで書くとき、同じ場面でも書き方ひとつで、あとから読める記録にも読めない記録にもなります。

欄 あとから読めない書き方 読める書き方 何が違うか
S 不安を訴える 「夜になると誰かに見られている気がする」と話される 要約すると、次に読む人が自分で判断できなくなる。言葉はそのまま残す
S 特に訴えなし 「今日は調子がいいほうです」と話される。こちらからの問いかけには短く応じられる 「なし」は情報が0。発言が少ないなら、応じ方そのものを書く
O 不穏 病室内を10分ほど往復され、他患者に同じ質問を繰り返される 評価の言葉ではなく、見えたことを書く。「不穏」の中身は人によって違う
O 食事摂取良好 昼食は主食10割・副食8割。自室で1人で摂られる 「良好」の基準は書く人ごとに違うので、比較できない
A 幻聴が悪化している 訴えの内容は前回と変わらないが、日中の臥床が増え、生活への影響が広がっている Aは判断の欄。SとOに書いたことだけから導く
P 経過観察 明日の日勤で日中の過ごし方を確認する。眠前に訴えがあれば当直へ申し送る 「経過観察」では誰も動かない。誰が・いつ・何をするかを書く

SとAの境目 ― 幻聴の訴えをどちらに置くか

精神科でいちばん混ざりやすいのが、SとAの切り分けです。

  • 「誰かの声が聞こえる、と話される」 → S(本人が言ったこと)
  • 「幻聴が活発である」 → A(看護師が判断したこと)

この2つが同じ欄に混ざると、あとから読んだ人に「本人が言ったのか、看護師がそう見たのか」が分からなくなります。 治療方針の判断材料としては、この区別が消えていることのほうが、記述が短いことより重い問題になります。

迷ったときの目安は単純で、カギカッコに入れられるならS、入れられないならAです。

記録に時間をかけると、患者さんと話す時間が減る

ここが本当の問題です。丁寧に書こうとすると時間がかかり、時間を取られると、そのぶん患者さんのそばにいる時間が減ります。記録の質を上げる工夫が、看護の質を下げるという逆転が起きます。

MENTRAでは、この順番を変えました。先に会話をして、記録はその会話から作ります。 ケアや面談の場面を録音すると、AIが看護記録の様式に沿った下書きを作ります。看護師の仕事は「思い出して書く」から「下書きを確認して直す」に変わります。

訪問看護では1回の会話が20分を超えることも珍しくありませんが、下書きは数分で仕上がります。 会話の長さと書き起こしの手間が比例しなくなるので、丁寧に話を聴くことが記録の負担に跳ね返らなくなります。

AIの下書きは、何を残して何を落とすのか

作ってみて分かったのは、要約しすぎる下書きは使われないということでした。整った文章にまとめると読みやすくはなるのですが、看護師が「これは自分の記録ではない」と感じて、結局書き直すことになります。

そこでMENTRAでは、下書きの作り方を次のように調整しています。

  • 患者さんが話された言葉は、言い換えずに残す
  • 看護師が観察したこと(表情・活動性)は、会話に出てきた範囲で書く
  • 会話に出てこなかったことは、書かない

3つ目が特に大事です。それらしい文章を埋めるより、空欄のまま看護師に渡すほうが、記録としては正しくなります。

記録の様式は、施設によって違う

看護記録の書式は、法令で細かく決まっているわけではありません。施設ごとに、長い時間をかけて今の形になっています。だから「一般的な書き方」を持ち込んでも、その病棟では使えないということが起こります。

MENTRAは記録の種別ごとに別の書き方を持っているので、いま使われている様式に合わせられます。 AI看護記録に仕組みをまとめていますので、貴院の記録用紙をお見せいただければ、どこまで沿えるかを具体的にお答えできます。現状の様式を見せていただくだけでも歓迎です。

よくあるご質問

訪問看護の記録と、病棟の看護記録は同じ様式で書けますか

別のものとして扱うほうが実務に合います。訪問看護は精神科訪問看護記録書や報告書のように、書く場所と項目が決まっている部分があります。病棟は施設ごとの書式が中心です。MENTRAは記録の種別ごとに書き方を分けて持っているので、それぞれの様式に沿った下書きが作れます。

会話が少ない日は、何を書けばよいですか

観察した側の情報を残します。声かけへの応じ方、表情、日中の過ごし方、食事や睡眠の様子。発言が少ないこと自体も、そのときの応じ方まで書いておけば情報になります。「特に訴えなし」で止めると、次に読む人が比べる材料が残りません。

記録を書く時間は、どの時点で取れますか

会話が終わった時点で下書きが揃うので、まとまった記録の時間をあとから確保しなくても進みます。訪問と訪問のあいだや、勤務の終わりに内容を確認して確定する形が取りやすくなります。会話の長さと書き起こしの手間が比例しなくなるのが、ここでの変化です。

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まずは、30分だけ話を聞かせてください。

今の記録の流れを伺うところからで大丈夫です。資料の準備は不要です。

精神科病院からメンタルクリニックまで、規模を問わず。院内の運用に合わせた調整もご相談ください。