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WHODAS 2.0とは何か ― GAFに代わった尺度と、日本の記録での位置

目次
  1. なぜGAFの代わりに載ったのか
  2. 6領域・36項目の構成
  3. GAFとWHODAS 2.0の違い
  4. 記録に残すとき、何が起きるか
  5. MENTRAでは、尺度をどう記録に置いているか

WHODAS 2.0(World Health Organization Disability Assessment Schedule 2.0/WHO障害評価面接基準)とは、WHOが作った生活機能の評価尺度で、6つの領域・36項目について、過去30日にどのくらい困難があったかを5段階で答えます。2013年のDSM-5で、それまで使われていたGAFの代わりに載ったことで、精神科でも名前が知られるようになりました。

ただし日本では、精神科訪問看護や精神科在宅患者支援管理料の要件はいまもGAFです。WHODAS 2.0はGAFを置き換えるものではなく、測るものが違う尺度として並べて持つことになります。この記事では、WHODAS 2.0の構成と、GAFとの関係、そして2つを記録にどう残すかを整理します。

なぜGAFの代わりに載ったのか

GAFは、DSM-IVの多軸診断の第5軸として使われていた尺度です。症状と社会的機能を面接者が0〜100の1つの数字で表すもので、簡便な一方、評価者によってぶれることが以前から指摘されていました。

2013年のDSM-5は多軸診断そのものを廃止し、GAFを本文から外しました。その代わりに、生活機能の評価としてWHODAS 2.0を第III部「新しい尺度とモデル」の評価尺度として載せました。症状の評価と生活機能の評価を分け、生活機能はWHOの国際生活機能分類(ICF)の考え方に沿った尺度で見る、という整理です。

一方で日本の診療報酬は、精神科訪問看護記録書・報告書へのGAFの記載、精神科在宅患者支援管理料や訪問看護管理療養費の「GAF40以下」という要件を保っています。制度の側の要件はGAF、国際的な診断基準の側はWHODAS 2.0、という状態がいまの位置です。GAFの付け方はGAF尺度とは何かにまとめています。

6領域・36項目の構成

領域 何を尋ねるか 項目数(36項目版)
1. 認知 理解すること・コミュニケーション 6
2. 可動性 移動すること・動くこと 5
3. セルフケア 身の回りのこと 4
4. 対人関係 人との関わり 5
5. 生活活動 家庭での活動・仕事や学校での活動 8
6. 参加 社会活動への参加 8

各項目は、過去30日にその活動でどのくらい困難があったかを、なし・軽度・中等度・重度・極度(できない)の5段階で答えます。数字の振り方は、WHOのマニュアル(2010年)の単純合計では1〜5、いまWHOが配布している採点用のテンプレートでは0〜4です(WHOのWHODAS 2.0のページ)。12項目版は各領域から2項目ずつ抜いた短縮版です。

答える人は3通りあります。本人が自分で答える版、面接者が尋ねる版、家族などの代理人が答える版です。どの版で付けたかで点の意味が変わるので、記録に残します。

点数の出し方も2通りあります。単純に合計する方法と、WHOが示す換算で0〜100に変換する方法です。どちらで出したか、単純合計なら1〜5と0〜4のどちらで数えたかも記録に残さないと、あとから比べられません。

GAFとWHODAS 2.0の違い

GAF WHODAS 2.0
測るもの 症状と社会的機能の全体 生活機能の6領域
数字 0〜100の1つ 領域ごとの点(合計または0〜100換算)
誰が付けるか 面接者 本人/面接者/代理人
期間 評価時点(訪問看護では月の初回訪問時) 過去30日
日本の診療報酬 訪問看護の記録書・報告書、在宅患者支援管理料などの要件 要件になっている項目はない
国際的な診断基準 DSM-5で本文から外れた DSM-5の第III部(新しい尺度とモデル)に評価尺度として掲載

GAFは「いまどの帯にいるか」を1つの数字で言う尺度、WHODAS 2.0は「生活のどの領域で困っているか」を領域ごとに言う尺度です。訪問看護の現場で言えば、GAFは算定と報告のために要る数字、WHODAS 2.0は支援の焦点をどの領域に置くかを考えるための数字、という役割の違いになります。

記録に残すとき、何が起きるか

領域ごとの点が残らない。 WHODAS 2.0の価値は6領域の内訳にあります。合計や0〜100の換算値だけを残すと、どの領域で困っているのかが消えます。

版と出し方が残らない。 本人が答えた36項目版の単純合計と、面接者が付けた12項目版の換算値を同じ列に並べると、経過が読めません。

GAFと混ざる。 どちらも「機能」の尺度なので、記録の同じ欄に入れられることがあります。GAFは0〜100の1つの数字、WHODAS 2.0は領域ごとの点、と欄を分けて残します。

MENTRAでは、尺度をどう記録に置いているか

MENTRAの看護記録では、GAFの入力欄を記録を書く流れの中に置き、その日の会話から作った目安の値と、看護師の方が確定した値、根拠の1行を同じ画面に残しています(看護記録にGAF尺度を追加しました)。精神科訪問看護の報告書に月の初回訪問時のGAFを書く、という制度の要件に合わせた形です。

WHODAS 2.0のように領域ごとの点に意味がある尺度では、6領域の点を構造化して残し、GAFとは別の欄に置くことで、算定のための数字と支援の焦点を考えるための数字が混ざらずに済みます。貴院で使っている尺度や様式に合わせて記録の欄を組めるかは、個別に検討してご提案しています。AI看護記録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。


参考

  • 厚生労働省 保険局医療課長通知「訪問看護計画書等の記載要領等について」(保医発0327第10号・令和8年3月27日。精神科訪問看護記録書Ⅱ・報告書へのGAFの記載)
  • 厚生労働省「機能の全体的評定(GAF)尺度」(GAFの帯の文言)
  • World Health Organization. Measuring Health and Disability: Manual for WHO Disability Assessment Schedule (WHODAS 2.0). WHO, 2010(原著マニュアル。6領域・36項目・12項目・採点法)

よくあるご質問

WHODAS 2.0はGAFの代わりに使えますか

測るものが違います。GAFは症状と社会的機能を面接者が0〜100の1つの数字で評価します。WHODAS 2.0は生活機能の6つの領域について、本人(または面接者・代理人)が過去30日の困難さを答えます。日本の診療報酬の要件はGAFなので、置き換えるのではなく並べて持つ形になります。

誰が付けるものですか

本人が自分で答える版、面接者が尋ねる版、家族などの代理人が答える版の3つがあります。どの版で付けたかを記録に残します。

36項目版と12項目版はどう使い分けますか

12項目版は6領域から2項目ずつ抜いた短縮版で、全体の傾向を短時間で見るのに向きます。領域ごとの点を経過で追うなら36項目版です。

点数はどう出しますか

単純に合計する方法と、WHOが示す換算で0〜100に変換する方法があります。どちらで出したかを記録に残さないと、あとから比べられません。

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