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精神科の初診問診票は、何を聞くのか ― 項目の一覧と、初診・再診の分け方

目次
  1. 初診の問診で聞いていること
  2. なぜ、事前に書いてもらうのか
  3. 初診と再診で、様式を分ける
  4. 長い問診票の負担は、読む側にもある
  5. 項目が多いと、途中で止まる
  6. 注意して見たい回答を、AIに任せきりにしない
  7. 書いてもらった情報を、どこまで外に出すか
  8. 自院の問診票を作るとき、決めることの一覧
  9. 問診票は、その病院のものになっている

精神科の初診の問診票は、他科と比べて項目が多くなります。血液検査や画像で分かることが少なく、聞かなければ分からないことが多いからです。

何を聞いているのか、なぜそれを聞くのかを整理します。

初診の問診で聞いていること

大きく5つの層に分かれます。

  • いま困っていること — 主訴、いつから、どんなときに強くなるか
  • 症状の広がり — 睡眠、食欲、気分、意欲、不安、身体の症状
  • これまでの経過 — 過去の受診歴、服薬歴、入院歴、効いた薬・合わなかった薬
  • 生活の状況 — 就学・就労、同居の有無、経済的な状況、飲酒・喫煙
  • 家族歴と既往 — 血縁者の精神科受診歴、身体の持病、アレルギー

このうち、診察室で聞くと時間がかかるのが3つ目と4つ目です。年単位の経過や生活の状況は、思い出しながら話すことになるので、その場では埋まりません。

自院の様式を作るとき、あるいは見直すときの手がかりとして、層ごとの項目を並べます。すべてを入れる必要はありません。「診察室で聞くと時間がかかるか」を基準に取捨します。

層 項目 診察室で聞くと
いま困っていること 主訴/いつから/どんなときに強くなるか/受診のきっかけ 短い。むしろ対面で聞くほうが正確
症状の広がり 睡眠(寝つき・中途覚醒・早朝覚醒)/食欲/気分/意欲/不安/動悸・頭痛などの身体症状 中くらい。事前に印が付いていると、掘る場所が決まる
これまでの経過 過去の受診歴(医療機関名・時期)/服薬歴/入院歴/効いた薬・合わなかった薬 🔴 長い。年単位を思い出しながら話すことになる
生活の状況 就学・就労/同居の有無/経済的な状況/飲酒・喫煙/利用中の制度 🔴 長い。かつ対面では話しにくいことが混じる
家族歴と既往 血縁者の精神科受診歴/身体の持病/アレルギー 中くらい

「長い」に印が付いた2つを事前に書いてもらうだけで、初診の時間の使い方が変わります。 逆に、主訴を細かく書かせても診察時間は縮みません。対面のほうが速いからです。

なぜ、事前に書いてもらうのか

診察の時間には限りがあります。初診が30分あっても、経過の聴取だけで大半が消えると、いちばん聞きたい「いま困っていること」に時間が残りません。

事前に問診票で埋まっていれば、診察は「確認と深掘り」から始められます。患者さんにとっても、診察室でその場で思い出すより、自宅で落ち着いて書くほうが正確に答えられます。

MENTRAの問診は、来院前にスマートフォンのブラウザから回答していただく形にしています。アプリのインストールもアカウント登録も不要で、URLかQRコードから入ります。

初診と再診で、様式を分ける

再診で知りたいのは「前回から何が変わったか」です。生活歴や家族歴を毎回書いてもらう必要はありません。

ところが同じ様式を使い回すと、患者さんは通院のたびに同じことを書くことになります。書く負担が増えるだけでなく、本当に知りたい「変化」が埋もれます。

MENTRAで初診と再診の様式を分けているのは、この2つが別の目的を持っているからです。再診の様式は、初診の様式から項目を削って作るのではなく、「前回から何が変わったか」を軸に組み直します。

長い問診票の負担は、読む側にもある

見落とされがちですが、問診票の負担は書く側だけの話ではありません。

書くのは1回、読むのは診察の直前です。 紙の問診票は、診察室で初めて開くことになります。数ページを目で追って要点を掴む時間は、そのまま診察の時間から差し引かれます。次の患者さんが待っている外来では、この数分が効いてきます。

長くて情報量の多い問診票ほど、読む時間が要る。書く側の丁寧さが、読む側の時間を圧迫するという構造があります。

項目が多いと、途中で止まる

ただし、聞くことが多いのは患者さんの負担でもあります。項目を並べるだけでは、途中で離脱されます。ここは設計で対処するしかありません。

MENTRAの問診では、次のようにしています。

  • 条件分岐 — 該当しない方には、その先の設問を出さない。全員が全項目に答えるわけではない
  • 最初の入力を減らす — メールアドレスと電話番号は任意。性別は3択からワンタップ
  • 途中で中断できる — 入力の途中で保存し、あとから続きから再開できる

3つ目は特に効きます。精神科の初診の問診は、体調が悪い状態で書かれることが少なくありません。一度に最後まで書ききれることを前提にしないほうが、現実に合っています。

注意して見たい回答を、AIに任せきりにしない

問診の回答は、医師が診察前に読みます。項目が多いので、AIが要点をまとめ、注目したい項目を挙げます。

ただし、希死念慮のように見落としてはいけない項目を、AIの判断だけに委ねてはいません。あらかじめ決めた設問と表現については、AIの結果とは別に、必ず印が付くようにしています。AIの分析が届かなかった場合でも、印は残ります。

機械が賢くなったから安全になる、という作りにはしていません。賢さと関係なく成立する層を別に持つという考え方です。

書いてもらった情報を、どこまで外に出すか

問診のAI分析に外部のAIへ送るのは、年齢・性別・回答内容だけです。氏名や生年月日は送りません。診療情報がAIモデルの学習に使われることもありません。

送信前の入力途中の問診は診療記録と区別して扱い、送信が完了したとき、または最大7日で自動的に完全削除します。書きかけのものを溜め込まないという方針です。

自院の問診票を作るとき、決めることの一覧

問診票を作る作業でいちばん時間がかかるのは、項目を並べることではなく、項目以外の決めごとです。 下表は、MENTRAの問診を設計するときに実際に決めた8つと、その理由です。 自院の様式を見直されるときの、確認の順番としてお使いいただけます。

決めること MENTRAでの答え そう決めた理由
初診と再診で様式を分けるか 分ける 再診で知りたいのは前回からの変化。初診の設問を使い回すと、患者さんは同じことを書き直し、読む側は並べ読み比べないと変化が見えない
連絡先を必須にするか 任意 入力の条件を、その項目を誰が入れるかによって変えない。揃える先は軽いほう
性別に初期値を置くか 置かない 値が先に入っていると、選んで進んだのか、触らずに通り過ぎたのかを、あとから見分けられない
何を事前に聞くか 「これまでの経過」と「生活の状況」に絞る この2層だけが診察室で長くなる。主訴は対面で聞くほうが速く、正確
途中でやめられるようにするか そのまま閉じてよい形にする 体調が悪い状態で書かれることを前提にする。中断を特別な操作にしない
本人以外が入力してよいか よい 付き添いの方が代わりに書くのは紙でも起きている。誰が答えたかが分かる形にしておく
見落としたくない回答をどう扱うか AIの結果とは別の層で印を付ける 決めておいた表現や設問に当たれば、AIが挙げたかどうかに関わらず印が付く
どうやって渡すか URLかQRコードでブラウザに開く アプリの用意もアカウントの登録も挟まない。院内の端末でも、ご家族の端末でも同じ

決まっていないまま項目だけ増やすと、書く側の負担は増えるのに、診察室で短くなる時間は増えません。 上の8つは、いま紙で運用されている場合でも、そのまま見直しの観点として使えます。

問診票は、その病院のものになっている

初診の問診票は、どの病院でも同じではありません。診療科の重心、対象とする年齢層、地域の事情によって、長い時間をかけて今の形になっています。

MENTRAの問診も、そのまま使うことも、院内の様式に寄せることもできます。AI問診に仕組みをまとめていますので、いまお使いの問診票をお見せいただければ、どこまで再現できるかを具体的にお答えできます。現状の問診票を見せていただくだけでも歓迎です。

よくあるご質問

スマートフォンに慣れていない方は、どう答えることになりますか

回答の画面はURLかQRコードから開くブラウザの画面なので、ご家族の端末から一緒に入力していただけます。アプリのインストールもアカウント登録も要りません。院内の端末をお使いいただく形も取れますので、来院の流れに合わせてご相談ください。

本人の代わりに家族が答えてもよいですか

構いません。体調が悪いときに家族が書くのは、紙の問診票でも実際に起きていることです。誰が答えたかが分かる形にしておくと、診察の前に読む側が背景を汲みやすくなります。

問診の項目は、運用を始めたあとから増やしたり減らしたりできますか

できます。使ってみて「この設問は診察室で聞くほうが速い」と分かることがあるので、様式は固定せず調整していく前提です。いまお使いの問診票を基準に、どこから始めるかを一緒に決められます。

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