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福祉の訪問支援記録は、何を書けばよいのか
福祉部門の訪問支援の記録は、医療の記録とは目的が違います。医療の記録は診療の経過を残すためのものですが、支援の記録は「その人の暮らしがどう続いているか」を残すためのものです。
だから書く内容も、読み返される場面も変わります。
訪問支援の記録に、何を書くのか
実務で機能している記録を見ていくと、次の層に整理できます。
- 訪問の事実 — いつ、どこへ、誰が、どのくらいの時間
- 暮らしの様子 — 住まいの状態、食事・睡眠・服薬、金銭の管理、体調
- 本人の言葉と意向 — 何を話されたか、何を望まれているか
- 支援の内容 — その場で何をしたか、何を一緒に決めたか
- 次にすること — 誰が、いつまでに、何を
医療の記録との一番の違いは、「次にすること」の比重が大きいことです。支援は継続する前提なので、記録は次の訪問への申し送りを兼ねています。ここが空欄だと、次に行く人が一から状況を組み立て直すことになります。
「暮らしの様子」は、判断ではなく事実で書く
支援記録でよくつまずくのが、様子の書き方です。「部屋が荒れている」「意欲が低下している」と書くと、それは書いた人の判断であって、次に読む人は確かめられません。
有効なのは、見たものをそのまま書くことです。「流し台に食器が積まれていた」「日中もカーテンが閉まっていた」。判断は読む側がします。判断で書くと、書いた人と違う結論に至れなくなります。
本人の言葉も同じで、要約せずに残すほうが後から使えます。
同じ場面でも、書き方でこれだけ変わります。
| 判断で書くと | 事実で書くと |
|---|---|
| 部屋が荒れている | 流し台に食器が積まれていた |
| 意欲が低下している | 日中もカーテンが閉まっていた |
| 服薬ができていない | 前日ぶんの薬が袋のまま残っていた |
| 落ち着いている | 「今週は買い物に出た」と話された |
右の書き方なら、次に読む人が自分で確かめられます。左の書き方だと、書いた人の結論をそのまま受け取るしかありません。
訪問先では、記録を書く時間がない
ここが現実の壁です。訪問は移動と移動の間にあり、次の予定が詰まっています。その場で書けないので、事務所に戻ってから思い出して書くことになります。
思い出して書くと、細部が落ちます。落ちるのは決まって、後から役に立ったはずのところ——本人が話した具体的な言葉や、ちょっとした変化です。
MENTRAでは、訪問先での会話を録音して、そこから記録の下書きを作ります。 事務所に戻ったときには下書きができているので、仕事は「思い出して書く」から「確認して直す」に変わります。訪問中の操作は録音を始めることだけです。
患者登録を必要としない記録にした
福祉の訪問は、その病院の患者さんとは限りません。地域の事業所の利用者さん、まだ受診されていない方、ご家族。患者番号を持たない人のところへ行って記録を残す仕事が現実にあります。
そこでMENTRAの福祉訪問記録は、患者登録を必要としない独立した記録にしました。記録するときに利用者さんのお名前を入力し、過去に入力した名前からは候補が出ます。同じ方を繰り返し訪問する現場では、入力はほぼ選ぶだけになります。
利用者マスタを作る選択肢もありましたが、採りませんでした。マスタを持つと、そこに登録し、名寄せし、整理する仕事が新しく生まれるからです。記録を楽にするための道具が、管理の仕事を増やしては本末転倒になります。
片手がふさがっている前提で作る
訪問先では、もう片方の手がふさがっていることが日常的にあります。荷物を持っている、扉を押さえている、書類を抱えている。
MENTRAでは、スマートフォンで横に並ぶボタンは、よく使うほうを右に置くという決まりを持っています。片手持ちで親指が届きやすいのは利き手側だからです。福祉訪問記録の作成画面では、音声ファイルの取り込みが左、録音の開始が右にあります。取り消しのきかない操作は、いちばん押しやすい場所に置きません。
様式は事業所ごとに違う
福祉の記録様式は、事業の種別と自治体の様式に左右されます。「一般的な書き方」を持ち込んでも、その事業所では使えないということが起こります。
AI福祉訪問記録に仕組みをまとめていますので、いま使われている様式に沿えるかどうかは、実際の記録用紙をお見せいただければ具体的にお答えできます。現状の様式を見せていただくだけでも歓迎です。
