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福祉の訪問記録をAIで作るとき、医療の記録と何が違うのか
精神科の病院や関連法人には、診療ではない訪問があります。グループホームや作業所の利用者さんを訪ねる、生活の場に出向いて様子を確かめる、関係機関との調整に同席する。福祉部門の仕事です。
こうした訪問にも記録が要ります。ところが福祉の訪問記録は、医療の記録の作りをそのまま持ってくると成立しません。 患者さんという単位で世界ができていないからです。
精神科の病院には、医療ではない訪問がある
医療の記録は、まず患者さんが登録されていて、そこにカルテがぶら下がる、という形をしています。診察も看護記録も面談記録も、この構造の上に乗っています。
福祉の訪問は違います。訪ねる先は「その病院の患者さん」とは限りません。地域の事業所の利用者さん、まだ受診されていない方、ご家族。患者番号を持たない人のところへ行って、記録を残す仕事が現実にあります。
ここで医療側の作りを流用すると、記録を残すために先に患者登録をしなければならなくなります。診療していない方をカルテのシステムに登録する。これは運用としても、記録の意味としても正しくありません。
福祉の訪問記録は、医療の記録と何が違うのか
大きく3つ違います。
- 単位が違う。 患者ではなく、訪問という出来事そのものが記録の単位になる
- 様式が違う。 医学的な所見ではなく、生活の様子・支援の内容・次にすることが中心になる
- 書き手が違う。 医師や看護師ではなく、福祉部門のスタッフが書く
このうち様式の違いは、AIに下書きを作らせるうえで決定的です。同じ会話を渡しても、医療の様式で整えたものと福祉の様式で整えたものは、別の文書になります。MENTRAでは記録の種別ごとに別の書き方を持たせているので、福祉訪問には福祉訪問の整え方が使われます。
患者マスタに紐づかない記録を、どう作るか
MENTRAの福祉訪問記録は、患者登録を必要としない独立した記録として作りました。
訪問先で録音を始め、記録するときに利用者さんのお名前を入力します。マスタを引かないかわりに、過去に入力した名前から候補が出るようにしてあります。同じ方を繰り返し訪問する現場では、これで入力はほぼ選ぶだけになります。
「利用者マスタを作って管理する」という選択肢もありました。採らなかったのは、マスタを持つと、そこに登録する仕事が新しく生まれるからです。訪問のたびに登録の可否を判断し、名寄せをし、退所したら整理する。記録を楽にするために来たはずの道具が、管理の仕事を増やしてしまいます。
ここまでを、医療の記録と並べるとこうなります。
| 観点 | 医療の記録 | 福祉の訪問記録 |
|---|---|---|
| 記録の単位 | 患者さん。そこにカルテがぶら下がる | 訪問という出来事そのもの |
| 中心になる内容 | 医学的な所見 | 生活の様子・支援の内容・次にすること |
| 書き手 | 医師・看護師 | 福祉部門のスタッフ |
| 始めるのに要るもの | 患者登録 | 利用者さんのお名前(過去の入力から候補が出る) |
いちばん下の行が、この記事の主題です。ここを医療側と同じにすると、記録を残すために先に患者登録をする運用ができてしまいます。
現場は、片手で操作している
福祉の訪問先では、もう片方の手がふさがっていることが日常的にあります。荷物を持っている、扉を押さえている、書類を抱えている。
そこでMENTRAでは、スマートフォンで横に並ぶボタンは、よく使うほうを右に置くという決まりを持っています。片手持ちで親指が届きやすいのは利き手側だからです。福祉訪問記録の作成画面では、音声ファイルの取り込みが左、録音の開始が右にあります。
逆に、取り消しのきかない操作は右に置きません。誤って触れたときに戻せないものを、いちばん押しやすい場所に置かないためです。「正しく使えば問題ない」は設計ではないと考えているので、押し間違いようがない配置のほうを選びます。
様式が増えても、覚えることは増やさない
MENTRAが対応する記録は、診察・看護・面談・カンファレンス・福祉訪問の5種類になりました。増えていますが、現場から見た操作は5種類とも同じです。記録の種別を選び、録音し、できた下書きを確認して確定する。
新しい様式に対応するたびに新しい画面と新しい手順が増えるなら、覚えることが増えた分だけ現場の負担になります。それでは記録の道具として長続きしません。
福祉部門の記録づくりは、医療の記録以上に「誰が何をどこまで書くか」が施設ごとに違います。AI福祉訪問記録に仕組みをまとめていますので、貴院・貴法人で使われている様式に合わせられるかどうかは、現状の様式をお見せいただければ具体的にお答えできます。
