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精神科入退院支援加算の退院支援計画 ― 入院後7日以内に何を記録するか
目次
精神科入退院支援加算とは、精神病棟に入院中の患者さんが早期に退院し、医療・障害福祉・介護などのサービスを切れ目なく受けられるように、入院早期から包括的支援マネジメントにもとづく入退院支援を実施することを評価する加算です。退院時1回に限り1,000点で、措置入院の患者さんについて都道府県等と連携した場合は300点が更に加算されます。
この加算の要件は「入院後7日以内」という期限で組み立てられています。7日以内に何を行い、何を診療録に残すのかを時系列で押さえておかないと、退院時に算定しようとして記録が足りない、ということが起きます。この記事では、7日以内に起きることの順番と、診療録に残す事項、そしてカンファレンスの記録の残し方を整理します。
加算の要件 ― 何を評価しているか
診療報酬の通知は、この加算を「精神病棟に入院中の患者が、早期に退院するとともに、医療、障害福祉、介護その他のサービスを切れ目なく受けられるように、入院早期から包括的支援マネジメントに基づく入退院支援を実施することを評価するもの」と定めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数 | 退院時1回 1,000点 |
| 措置入院の患者 | 精神科措置入院退院支援加算として300点を更に加算 |
| 対象 | 退院困難な要因を有する入院中の患者で、在宅での療養を希望するもの |
| 体制 | 入退院支援及び地域連携業務に専従する職員(入退院支援職員)を各病棟に専任で配置 |
| 併算定できないもの | 精神保健福祉士配置加算、精神科地域移行実施加算、精神科退院指導料 |
「包括的支援マネジメント」は、多職種によるアセスメント・ケア会議・多機関との連携調整を通じて、精神障害のある方の地域生活を支える手法です。その導入基準(別紙様式51「包括的支援マネジメント導入基準」)に1つ以上該当することが、退院困難な要因の一つに挙げられています。
入院後7日以内に起きること ― 時系列
| いつ | 何を | 誰が |
|---|---|---|
| 入院後7日以内 | 患者の状況を把握し、退院困難な要因を有する患者を抽出する | 病棟に専任の入退院支援職員 |
| 7日以内 | 患者と家族等と、病状や退院後の生活を含めた話し合いを行う | 関係職種 |
| 7日以内 | 退院支援計画の作成に着手する | 関係職種と連携して |
| 7日以内 | カンファレンスを実施する | 病棟看護師・専任の入退院支援職員・入退院支援部門の職員が共同で |
| 計画ができたら | 別紙様式6の4で作成し、文書で説明・交付し、診療録等に添付または記載する | |
| 計画が変わったら | 説明を行い、必要に応じて変更した計画を交付する |
5つのことが7日以内に起きます。 状況把握、話し合い、計画の着手、カンファレンス、そして(該当すれば)導入基準の該当状況の診療録への記載です。それぞれの日付が診療録で追えることが、要件を満たしていることの実態になります。
退院困難な要因 ― 何を診療録に残すか
通知には退院困難な要因が列挙されていて、その中に「包括的支援マネジメント導入基準を1つ以上満たす者」があります。この場合、該当する基準を診療録等に添付または記載することが求められています。
導入基準には、6か月以上社会的役割の遂行に重大な問題がある、地域生活に必要な課題(栄養・衛生・金銭・安全・人間関係・書類の管理・移動など)の遂行に重大な問題がある、自傷や自殺を企てたことがある、定期的な服薬ができていなかったことが2か月以上あった、外来受診をしないことが2か月以上あった、などの項目があります。
どの基準に該当したかを、入院後7日以内の日付で診療録に残すのが、記録の側でやることです。退院時になって「該当していたはず」と遡って書くことはできません。
カンファレンスの記録 ― 議事録として何を残すか
7日以内のカンファレンスは、病棟の看護師、病棟に専任の入退院支援職員、入退院支援部門の専従または専任の職員が共同して実施します。精神保健福祉士の参加が望ましいとされ、退院後生活環境相談員が別に選任されている場合はその相談員も参加します。
カンファレンスの記録として残しておくべきものは、次のとおりです。
| 何を | なぜ |
|---|---|
| 開催日 | 入院後7日以内であることの証拠 |
| 参加者と職種 | 共同して実施したことの証拠。精神保健福祉士・相談員の参加 |
| 退院困難な要因 | 抽出した要因と、導入基準の該当 |
| 話し合いの内容 | 本人・家族の希望、退院後の生活の見通し |
| 決めたこと | 計画の骨子、次に誰が何をするか |
| 次回 | 次のカンファレンスまたは見直しの時期 |
カンファレンスの議事録は、この加算に限らず多職種の記録として求められるものです。書き方は多職種カンファレンスの議事録は、なぜ後回しになりやすいのかに書いています。医療保護入院の患者さんでは、入院期間の更新のたびに開く退院支援委員会の審議記録も、同じく議事録として残します(医療保護入院者退院支援委員会 ― 開催時期・出席者・審議記録)。
記録の側で起きること
7日以内の日付が追えない。 状況把握・話し合い・カンファレンス・計画の着手が、それぞれいつ行われたかが診療録に残っていないと、退院時に要件を示せません。
カンファレンスの記録が薄い。 「カンファレンス実施」の1行だけでは、参加者も内容も分かりません。誰が参加して何を決めたかが要ります。
計画の交付が残らない。 別紙様式6の4で作った計画を説明・交付したこと、その内容を診療録に添付または記載したことが要件です。交付した日付と、交付した文書の控えが要ります。
変更の履歴が残らない。 計画が変わったときの説明と再交付も要件に含まれます。いつ何が変わったかが追える形で残します。
MENTRAでは、カンファレンスの記録をどう作っているか
MENTRAのAI議事録は、カンファレンスの会話から議事録の下書きを作り、参加者が確認して確定する形です。会議の種類ごとに決まった様式で作れるようにしていて、退院支援のカンファレンスのように「必ず残す項目」が決まっている会議では、その項目が最初から議事録の構造に入ります(会議の種類ごとに、決まった様式で議事録を作れるようになりました)。
入退院支援のカンファレンスに求められる項目――開催日・参加者・退院困難な要因・決めたこと・次回――を様式として持ち、7日以内の時系列が診療録で追える形にできるかは、施設の運用に合わせて個別に検討してご提案しています。AI議事録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。
参考
- 今日の臨床サポート「A246-2 精神科入退院支援加算」(1,000点・措置入院退院支援加算300点・入院後7日以内の要件・別紙様式6の4・カンファレンスの参加者・導入基準の診療録への記載、の告示と通知の文言)
- 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会 資料「精神医療について(その2)」(令和5年12月22日。包括的支援マネジメントの流れと導入基準、退院促進措置との対応)
- 公益社団法人 日本精神保健福祉士協会「退院後生活環境相談員のための退院促進措置運用ガイドライン」(2024年3月。退院後生活環境相談員の選任と役割)
よくあるご質問
精神科入退院支援加算は何点ですか
退院時1回に限り1,000点です。精神保健福祉法の措置入院・緊急措置入院の患者について都道府県等と連携して退院に向けた支援を行った場合は、精神科措置入院退院支援加算として300点が更に加算されます。
「7日以内」は何を指しますか
入院後7日以内に、入退院支援職員が患者の状況を把握して退院困難な要因を抽出すること、本人・家族と病状や退院後の生活を含めた話し合いを行うこと、関係職種と連携して退院支援計画の作成に着手すること、そしてカンファレンスを実施することです。
退院困難な要因にはどんなものがありますか
措置入院の患者、医療保護入院中に退院支援委員会が開かれた患者、入院期間が1年以上の患者、入退院を繰り返している患者、包括的支援マネジメント導入基準を1つ以上満たす患者などが挙げられています。導入基準に該当する場合は、該当する基準を診療録等に添付または記載します。
カンファレンスには誰が参加しますか
病棟の看護師、病棟に専任の入退院支援職員、入退院支援部門の専従または専任の職員が共同して実施します。精神保健福祉士の参加が望ましいとされ、退院後生活環境相談員が選任されている場合はその相談員も参加します。
