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医療保護入院者退院支援委員会 ― 開催時期・出席者・審議記録と令和8年改定
目次
医療保護入院者退院支援委員会とは、精神科病院の管理者が、医療保護入院の入院期間が経過する前に、入院を継続する必要があるかどうかを審議するために開催する委員会です。令和6年4月に施行された改正精神保健福祉法で、医療保護入院に入院期間が定められ、その更新にはこの委員会の審議が要件になりました。
委員会は会議なので、記録として残るのは審議記録=議事録です。誰が出席し、何を審議し、どう結論したかが残っていなければ、更新の要件を満たしたことを示せません。この記事では、委員会を開く時期と出席者、審議記録に残す事項、そして議事録としてどう残すかを整理します。
入院期間と更新の要件
改正後の医療保護入院には、入院期間が定められています。
| 時期 | 入院期間 |
|---|---|
| 医療保護入院から6か月を経過するまで | 3か月以内 |
| 6か月を経過した後 | 6か月以内 |
入院期間を更新するには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 精神保健指定医の診察の結果、精神障害者であり、医療及び保護のために入院が必要で、任意入院が行われる状態にないと判定されること
- 医療保護入院者退院支援委員会で、対象患者の退院促進措置について審議されること
- 家族等に必要な事項を通知したうえで、家族等の同意があること(家族等がない場合等は市町村長の同意)
委員会は、この2つ目の要件です。
委員会を開く時期と出席者
委員会は、入院期間満了日の1か月前から当日までの間に開きます(退院促進措置運用ガイドライン[改訂版] 第4-2)。厚生労働省のQ&A(問3-12)は、指定医の診察と委員会の審議を「出来る限り、入院期間満了日に近い日の病状を踏まえて行うことが望ましい」として、満了日の1か月以内に行うよう求めています(改正精神保健福祉法の施行に伴うQ&Aについて(更新))。
| 出席者 | 出席の要件 |
|---|---|
| 主治医 | 必須(精神保健指定医である必要はない) |
| 看護職員 | 必須(当該患者を担当する看護職員が望ましい) |
| 退院後生活環境相談員 | 必須 |
| 上記以外の病院職員 | 必須(管理者が出席を求める職員) |
| 本人 | 本人が出席を希望した場合 |
| 家族等 | 本人が出席を求め、出席要請に応じた場合 |
| 地域援助事業者等 | 本人が出席を求め、出席要請に応じた場合 |
ガイドラインは、上の表の主治医から管理者が出席を求める職員までの4者は参加が必須としています。主治医が指定医でない場合は、委員会の前に審議事項を指定医とよく相談しておくことも求められています。
本人の了解が得られる場合は、オンライン会議などの情報通信機器による出席もできます。本人が出席しない場合も、事前に口頭や書面で意見を述べられることになっています。
家族等への通知 ― 1か月前から2週間前まで
入院期間の更新には家族等の同意が要り、その同意を求める通知は入院期間満了日の1か月前から2週間前までに行います。通知日の翌日から2週間を経過した日までに家族等から不同意の意思表示がなかった場合に、同意があったものとみなす扱いがあります。
ただし、満了日の2週間前から満了日までのあいだに更新が必要になった場合は、可能な限り速やかに通知します。この場合は同意があったものとみなす扱いはできません。通知の日付が、そのまま更新の可否に効いてきます。
日付の並び ― 1枚で確かめる
| いつ | 何をするか | 根拠 |
|---|---|---|
| 満了日の1か月前〜当日 | 指定医の診察・委員会の審議 | 運用ガイドライン 第4-2/Q&A 問3-12 |
| 満了日の1か月前〜2週間前 | 家族等へ更新の同意を求める通知 | 施行規則第15条の10 |
| 通知を発した日から2週間を経過した日 | みなし同意の回答期限(病院必着で可) | Q&A 問3-11 |
| 更新のとき | 更新届に審議記録を添付して提出 | 運用ガイドライン 第4-6(5) |
Q&A(問3-11)は期限の数え方を例で示しています。通知の発出日が6月10日なら、初日不算入で6月11日を起算日とし、回答の期限は6月25日です。期限は「病院必着」で差し支えなく、期限までに電話や電子メールで不同意の意思表示を受けた場合はみなし同意になりません。電話や電子メールで意向を確かめた場合も、通知事項を含む書面を速やかに郵送するのが適当とされています(問3-9)。
発出日・期限日・回答の受領日の3つを同じ場所に残しておくと、更新届を書くときに迷いません。
審議記録に残すこと ― 議事録として
委員会の記録は、医療保護入院者退院支援委員会審議記録として作成し、病院の管理者が審議状況を確認して署名します。様式は、退院促進措置の通知(令和5年11月27日 障発1127第7号)の別添様式2です。欄は次のとおりです(退院後生活環境相談員のための退院促進措置運用ガイドライン[改訂版] p.77)。
| 別添様式2の欄 | 記録の側で確かめること |
|---|---|
| 委員会開催年月日 | 満了日の1か月前〜当日に入っているか |
| 患者氏名・生年月日 | |
| 退院後生活環境相談員の氏名 | 選任された相談員か |
| 現在の入院期間(○年○月○日から○年○月○日まで) | 満了日はここから数える |
| 出席者(主治医・看護職員・相談員・本人の出席/欠席・家族等と続柄・その他) | 必須の4者がそろっているか |
| 本人及び家族等の意見 | 欠席でも、事前に口頭や書面で述べた意見を書く |
| 入院期間の更新の必要性の有無とその理由 | 審議事項の1つ目 |
| 退院に向けた具体的な取組 | 審議事項の2つ目。次に誰が何をするか |
| 更新後の入院期間(○年○月○日まで) | 6か月経過までは3か月以内、経過後は6か月以内 |
| その他 | |
| 病院管理者の署名・記録者の署名 | 審議状況を確認したこと |
ガイドラインは、審議記録を「病院の業務従事者以外にもわかりやすい記載となるように配慮」すること、としています。審議記録の写しは、本人と出席した家族等・地域援助事業者等への結果の通知としてそのまま渡り、更新届にも添付されるからです。
委員会の前後にも記録が要ります。開催前の開催のお知らせ(本人・家族等・地域援助事業者等への通知)と、開催後の審議結果の通知(本人、出席した家族等・地域援助事業者等へ)です。どちらも様式が示されています。
令和8年度改定 ― 審議記録が診療報酬の書類にもなった
令和8年度の診療報酬改定で、医療保護入院等診療料に「2」(400点)が新設されました。多職種で退院支援を行った場合の評価で、入院日から6月までは3月に1回、6月以降は6月に1回に限り算定します(令和8年度診療報酬改定 個別改定項目 p.260)。
通知では、医療保護入院の患者について退院支援委員会の開催をもって、このカンファレンスの開催とみなすことができるとし、その際は審議記録の写しを診療録等に添付することを求めています(I014 医療保護入院等診療料 通知(2))。
| 審議記録の写しの行き先 | 根拠 |
|---|---|
| 本人・出席した家族等・地域援助事業者等への結果の通知 | 運用ガイドライン 第4-6(3) |
| 更新届への添付 | 運用ガイドライン 第4-6(5) |
| 診療録等への添付(医療保護入院等診療料2を算定するとき) | I014 通知(2) |
1回の委員会の記録が、3か所で使われます。審議記録が様式どおりにそろっているかどうかが、そのまま算定の根拠になる形です。
記録の側で起きること
日付の整合が取れない。 満了日、委員会の開催日、指定医の診察日、家族等への通知日、更新届の提出日。この5つの日付が、それぞれ要件の期限の中にあることを記録で示す必要があります。1つでも別の場所にあると、確かめるたびに探すことになります。
審議の内容が薄い。 「入院継続の必要性を審議した」の1行では、何をもとにそう判断したのかが分かりません。本人の意見と、退院に向けた取り組みの進み具合、退院後の生活環境の調整状況が入っていて、審議の記録として読めます。
本人の意見が残らない。 本人が出席しなかった場合も、事前に口頭や書面で述べた意見を残します。本人のニーズが支援の出発点である、というのがガイドラインの考え方です。
写しの行き先ごとに作り直す。 結果の通知・更新届・診療録への添付は、同じ審議記録の写しで足ります。行き先ごとに書き直すと、版の違う記録が3つ残ります。
署名が抜ける。 審議記録は管理者の署名で完成します。作成されて署名がない記録は、要件を満たしたことを示せません。
MENTRAでは、会議の記録をどう作っているか
MENTRAのAI議事録は、会議の会話から議事録の下書きを作り、参加者が確認して確定する形です。会議の種類ごとに決まった様式で作れるようにしていて、退院支援委員会のように審議記録の項目が決まっている会議では、その項目が最初から議事録の構造に入ります(会議の種類ごとに、決まった様式で議事録を作れるようになりました)。
開催年月日・出席者・本人及び家族等の意見・更新の必要性・退院に向けた取組・更新後の入院期間、という別添様式2の骨格を様式として持ち、満了日や通知日との整合を記録の側で追える形にできるかは、施設の運用に合わせて個別に検討してご提案しています。AI議事録の仕組みとあわせて、お気軽にご相談ください。同じ「精神保健福祉法の記録」では、隔離・身体的拘束の要件と記録も整理しています。
参考
- 公益社団法人 日本精神保健福祉士協会「退院後生活環境相談員のための退院促進措置運用ガイドライン[改訂版]」(令和6年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業。第4 委員会の開催時期・出席者・審議内容・審議結果、別添様式2 審議記録)
- 厚生労働省「改正精神保健福祉法の施行に伴うQ&Aについて(更新)」(令和6年6月21日事務連絡。問3-9 通知の方法、問3-11 みなし同意の期限の数え方、問3-12 診察と審議の時期)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 個別改定項目」(p.260 医療保護入院等診療料2の新設)
- 今日の臨床サポート「I014 医療保護入院等診療料」(令和8年版。通知(2) 委員会の開催をカンファレンスとみなす・審議記録の写しの添付)
- 厚生労働省「精神保健福祉法に基づく入院に関する各種様式(令和6年度)」(入院・退院促進に関する様式)
- 神戸市「精神保健福祉法に基づく入院に関する各種様式」(任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・隔離身体拘束・退院促進の様式一覧)
よくあるご質問
委員会は誰が出席しますか
主治医(精神保健指定医である必要はありません)、看護職員(担当の看護職員が望ましい)、退院後生活環境相談員、管理者が出席を求める病院職員の4者は参加が必須です。本人が希望した場合は本人、本人が求めた場合は家族等や地域援助事業者等が出席します。本人の了解があればオンラインでの出席もできます。
いつ開けばよいですか
入院期間満了日の1か月前から当日までの間に開きます。厚生労働省のQ&Aは、できる限り満了日に近い日の病状を踏まえて審議することが望ましいとして、満了日の1か月以内に行うよう求めています。
家族等への通知はいつまでに行いますか
入院期間の更新に同意を求める通知は、満了日の1か月前から2週間前までに行います。通知を発した日から2週間を経過した日を期限とし、それまでに不同意の意思表示がなければ同意があったものとみなせます。発出日が6月10日なら、期限は6月25日です。
審議記録には何を書きますか
様式は別添様式2で、開催年月日・現在の入院期間・出席者・本人及び家族等の意見・入院期間の更新の必要性とその理由・退院に向けた具体的な取組・更新後の入院期間を書き、病院の管理者が審議状況を確認して署名します。
